「どうしても悲観的な性格でして…」

 簡易版のプレモータム会議では、「プレモータム会議を開きます」と宣言すると、参加者はどうしても身構えてしまう。

 そこで、「私はどうしても悲観的な性格で心配なのです」などと言って、「このプランがうまくいかなかったらどうなるのか、少し教えていただけないでしょうか。そこからヒントが得られることも多いので」と始めるようにしている。

 するとあまり抵抗なく上の人を、プレモータム会議に巻き込むことができる。

 会議ではまず、意思決定者に放言してもらう(上の人ほど経験豊富で、「こうしてはいけない」というアイデアを持っていることが多い)。

 それらをリストアップして、ホワイトボードに書き上げていく。

 次に「あくまでも悲観的に考えた場合なのですが、これはまずくないですか。どうしたらいいと思いますか」などと持っていく。

 そうすれば誰もが、知らず知らずのうちにプレモータム・シンキングのアクションプランを論じることになっていく。

 その上で、誰が何をすべきかを決めればいい。

 最後に次回の打ち合わせとすべきことを確認して終わる。これだけなら、1時間もかからないでプレモータム会議の簡易版を実践できるのだ。

 また、上の人に意見を聞いてもらうには、「ボス・マネジメント」を知っておくといい(ボス・マネジメントについては「ハーバード・ビジネス・レビュー」などに詳しい)。

  • 上司がどういう人か
  • 上司が何をほしがっているのか
  • 上司はどうしたいのか

 それを知り、とにかく上司に歩み寄ること。なぜなら下の3つの単純な原理があるからだ。

  • [1]人間は心理的にほしいものを提供してくれる人を好ましく思う。特に組織の構造上、上司は下からの情報が不足する
  • [2]多くの場合、上司にも上司がいて、あなたの上司も上からの良い評価がほしい
  • [3]人間は自分を好きな人を好ましく思い、上司は自分が好きな人の話を聞く

 この3つの原理を知っておくだけでも、物事の進み具合は随分と違うはずだ。

パワハラ上司に抵抗するために、どのように「プレモータム会議」を開くのか。その詳細なども、現在発売中の『先にしくじる』に収録しています。

 口頭でディスカッションをすべきか、事前に資料を用意すべきかなど、上司のニーズを把握し、それを用意することで議論が円滑になる。

 仕事の行方を左右するような権限を持つ上司や、その上の経営層が、人の話を聞かず、やたらプライドの高い人であっても、彼らをプレモータム会議に巻き込むことで打開できることがある。ボス・マネジメントを活用して、彼らの参加しやすいスタイルを取り入れれば、実は最大の難関である「ラスボス」がプレモータム会議を通じて最大の味方に変身することがあるのだ。ぜひ試してもらいたい。