未来の「失敗」を独白形式で洗い出す

【中間地点1 =半月前】

 まずは、第一の中間地点、会議の半月前の情景をイメージしてみる。

 「会議まであと半月だ。そろそろプレゼンで使う資料をまとめなくては……。今のところ、全然と言っていいほど進んでいない。先週末までにある程度のところまで仕上げるつもりだったけれど、毎日の仕事を優先してしまいほとんど何もできなかった。今週末もプライベートを優先してし まった」

 「まあ、まだ半月ある。週末が2回もあるから、そこである程度まとめられるだろう」

【中間地点2=1週間前】

 さらに第2の中間地点、会議の1週間前の情景を想像してみる。

 「上司から準備は大丈夫かと聞かれたが、『大丈夫です!』と強く返してしまった。状況を見透かされたようで、つい頭に血が上った。そろそろ何とかしないと」

 「どれ、資料を見直してみるか。うん、何とかなりそうな気がしてきた。この間の手書きの企画書を少しいじれば何とかなるだろう。あと1回、週末もあるしな。プレゼンは、資料ができれば、それを見ながら話せばいい」

 これらの独白をワープロなどで文章化して、じっと眺めてみる。大事なことは、第三者の視線(例えば上司の視線)で客観的に眺めてみることだ。すると、おぼろげだった失敗の原因や問題点が明確に浮かび上がってくる。

 2つの中間地点を客観的に眺めてみることで、浮かび上がる失敗の原因や問題点は、次のようなものになるだろう。

  • 時間の見積もりが甘く、週末という不確定要素をあてにしている
  • 何をどの時点で完成させるか、スケジュールが明確になっていない
  • 目的を実現するための実行プランができていない
  • 会議の重要性を軽く見ている
  • 上司とのコミュニケーションがうまくできていない

 さらに踏み込むと、次のような細かい問題点もあぶり出されてくる。

  • 半月前の時点で資料作成に全く手が付いていない
  • 1週間前の時点で手書き程度の資料しかできていない
  • 1週間前の時点で、プレゼンのストーリーに全く手が付いていない

 いずれも、“まだ起こっていない未来の問題点”であり、通常は事前に失敗のイメージをすることはあまりないため、ここでやったような手順を踏まないと、なかなかあぶり出されてこない。多くの人は、どうしても自分に都合がいい方に考えるものだからだ。

 逆に、こうして未来の失敗の原因や問題点がクリアに見えてくると、あらかじめどの時点で、どんな手を打てばいいか分かってくる。要は、地雷がどこにあるかがあらかじめ見えているような状況だ。後はそれを踏まないように戦略を立てていけばいい。

 原因や問題点をリスト化して整理するとさらに対策も立てやすくなる。

 こういった“一人ブレーン・ストーミング”のような作業は、プレモータム・シンキングに慣れないうちは、なかなか難しい。何かをやる前から失敗のことばかり考えるのは気が進まないからだ。

 誰しもバラ色の成功体験はイメージしやすいが、失敗を想像するとなると気が重くなるものだ。まして途中経過まで含めて丹念に失敗をイメージする作業など、楽しいものであるはずがない。

 だが未来の失敗をせんじつめて、その原因を先回りして予防することでしか、確実な対策は打てない。そして“絶対に失敗できない”状況にいる人たちは、このようなプレモータム・シンキングの手法をフル活用している。

 そうでない人たちもこの手法の手順を覚え、ある程度経験を積めば、未来の失敗を具体的にイメージする作業が苦にならずにできるようになる。

 失敗が具体的にイメージできれば、次のステップに進んでいこう。