大炎上の原因を先回りして考えれば…

 次にやることは、未来に起こる失敗、大炎上の原因を先回りして考えることだ。

 今回なら、大炎上の原因として、

  1. 「誠意ある謝罪と受け取られなかった」
  2. 「矛盾を厳しく指摘された」
  3. 「予想外の質問が出て、立ち往生した」

 など、過去の事例などを思い浮かべ、冷静に考えればいくつかリストアップできるはずだ。

 もちろん追い込まれた状況にあれば思考停止し、見えるはずのものが見えなくなりがちだ。こうした時は思考の補助線となるようなフレームワークを使って思考を無理矢理にでも動かす。例えば、

 「誰が?」
 「何を?」
 「いつ?」
 「どこで?」
 「どのように?」

 こうすると、先ほどの①~③は下のように広がる。

  1. 「誠意ある謝罪とは受け取られず、ネットやテレビ、雑誌で猛烈なバッシングを受ける」
  2. 「選手の主張との矛盾を厳しく指摘され、しどろもどろになっている自分たち」
  3. 「予想外の質問や新たな証拠が提出され、言ったことがその場で否定される」
  4. 「若者に未来を奪ったとして激しく非難される」
  5. 「怒声が飛び交い、収拾不能になった会見会場」
  6. 「出席者2人の発言に矛盾が生じ、説明できなくなる」

 よりリアリティーを持った“失敗”のイメージが浮かんでくる。

 こうして未来の失敗の原因をできる限りのリアリティーを持ってイメージし、リストアップしていく。

未来の失敗の原因に対策を施す

 未来の失敗の原因がリストアップできたら、次はその対策を考えるステップだ。ここからは、①~⑥にどう対策すればいいかを考えてみよう。

 基本方針はリストをじっと眺めれば見えてくる。ここでは「誠意ある謝罪」「矛盾のない主張」「丹念な振り返りと入念な準備」といったところだろうか。

 この基本方針を肝に銘じた上で個別の対策を用意する。例えば下のようになる。

  1. 「誠意ある謝罪をするためにどうすればいいか、厳しい第三者の目を通じて指導を仰いでおく」
  2. 「選手が主張したかったことは何かをとことん考え、自分たちの認識との隔たりを把握する」
  3. 「自分たちの行ったことを丹念に振り返り、不測の事態が生じないようにする」
  4. 「若者の未来を奪ったことに対する謝罪の気持ちをどこまでも悔い、謝罪する」
  5. 「冷静に仕切れる第三者を立て、会見をファシリテートしてもらう」
  6. 「出席者2人の回答をすりあわせ、矛盾がないか、あるなら何故かを明確にする」

 もちろん、これらの対策は会見を見た後だから思いつくものかもしれない。

 ただこうした手続きを進めていけば、2人とその周囲の人たちは、事の本質に気づけた可能性がある。繰り返すが、選手が伝えたのは、「そうするほかない状況に追い詰められた」ということ。それが本質であり、この問題に対する誠実な謝罪が求められていた。本質に気づいていれば、緊急会見の流れや2人の言葉はガラリと変わったはずだ。

 もし2人がプレモータム・シンキングを知っていたら――。

 会見の様子を何度も振り返りながら、自分ごととして、どんな状況に追い込まれようと未来の失敗を防ぎたいならプレモータム・シンキングをしよう、と私は肝に銘じた。