もし日大がプレモータム・シンキングを実践していれば

 もし日大アメフト部の前監督、前コーチがプレモータム・シンキングを実践していたら、今回の事態はどう変わっただろうか。

 私は、2人が選手の主張を100%認めないことで何が起こるのかという「損失」の大きさに気づけたのではないかと考える。選手の主張を言葉通り認めないことで起こる大炎上がある程度予測できたと思うのだ。

 だが事前に「損失」の大きさが分かっていれば、「損失回避バイアス」の罠から逃れ、「選手をそこまで追い込んでしまった責任」を潔く認め、ひたすら誠意ある謝罪をすることもできたはずだ。

未来の失敗の原因を先回りして考え、深掘りする

 タイムマシンの針を緊急会見の前に戻して、プレモータム・シンキングを使ったシミュレーションをしてみよう。

 前監督と前コーチは、まず緊急会見に臨むに当たって、ゴールを設定するはずだ。

 彼らが設定すべきゴールは何か。危機管理の観点からすれば、それは「これ以上、事態を炎上させず、できる限り沈静化させる」ことだろう。

 一般的な思考法では、このゴールに対して「どうやって達成するか」と考える。だがプレモータム・シンキングでは逆だ。最初に「このゴールに失敗してしまう」と仮定するところからスタートする。

 つまり「緊急会見によって事態は沈静化せず、大炎上した」という失敗、つまり最悪ケースを想像するところから始める。