2018年5月16日、参議院本会議で、政府の目玉施策の一つとも言われている「生産性向上特別措置法」が可決された。「働き方改革」「生産性向上」など、政府が掲げるスローガンに興味のある人間にとっては、気になることこの上ない法律だろう。

 ところが、この法律の内容はというと、どんなものなのかが分かりにくい。いくつかの新聞記事を読んでみたが、やっぱり分かりづらい。5月16日の日本経済新聞に掲載された記事の冒頭を引用すると、「革新的技術などの実証実験をしやすくする『サンドボックス』制度を創設する『生産性向上特別措置法』」とある。難しい。

 結局、衆議院や参議院のサイトに実際の法案が掲載されていたので、それを読み、別途掲載されている要旨なども併せて読みながら解釈を試みた。

参議院ホームページに掲載された議案要旨を印刷したもの。法律案に比べると簡潔にまとめられ、だいぶ分かりやすくなっているが、そこは法律。独特の書き方なので、よく読み込まないと、内容を把握できない

 ようやく分かったことは、どうやらこの法律は「新技術、特にすごいIT技術の開発をしようとする企業や生産性向上に必要な先端設備を導入する中小企業に対して資金援助や規制緩和などの支援をする」もののようだ。恩恵を受けるのは申請して認められた企業。法律の施行期間は3年という時限法になる。

 こうして法律の内容が分かると、納得する半面、肩すかしをくらった気分になった。

認可を受けた企業を助ける支援法

 この法律に意味がないとは全く思わない。一定以上の意味合いはある。

 

 スゴイ技術を開発しようとしている意欲ある企業には福音だ。認可を受けた企業は規制も緩和される。中小企業の投資に対する支援が進み、企業としての生産性が上がる助けにもなる。将来、生産性向上に役立つ技術が飛び出してくることも期待できる。

 しかし、である。

 「生産性向上特措法」は、私のような民間企業のビジネスパーソン一人ひとりの「生産性向上」は支援してくれない。普通、ビジネスパーソンが「生産性向上特措法」という言葉を耳にすれば、それは一部の企業の支援ではなく、自分たちの仕事の生産性を上げるためのものだと期待してしまう。

 

 勝手に期待するのが悪いと言われればそれまでだが、これは普通の企業で働く人間の感覚としては仕方がないと思う。

 上からは時短を求められ、人手不足という難題を抱えながらも、質の高いアウトプットを実現するために日々苦闘する現場は、目の前の仕事の生産性を上げる方法論やツールがほしい。