スマホ以外の新たなディスプレー需要を開拓できるか

 2016年3月期の最終損益は為替差損やリストラ費用が膨らみ318億円の赤字と2期連続の最終赤字に終わった。本間会長は決算発表会で、「公表数字を守れなかったのは、私の不徳の致すところ」と反省の弁を述べた。

 市場の競争環境は依然厳しいままで、売上高の大半を占めるスマホ向け以外の開拓もまだ道半ばだ。2020年にはスマホ以外の新規分野で売り上げの半分を占める計画だが、「液晶をやり続けるならば、スマホ比率はもっと下げる必要がある」(業界アナリスト)と厳しく見る目は多い。中国勢のLTPS液晶パネルの生産工場が続々と立ち上がるなか、スマホ向けでは「高くてもJDIの液晶パネルを買いたい」と顧客に思ってもらうような製品開発が必要になってくる。

 今後ディスプレーの需要は間違いなく右肩上がりで伸びていく。従来のスマホやテレビだけでなく冷蔵庫のような家電製品や自動車にもより多くのモニターが搭載されるようになるからだ。有機ELの開発競争の号砲がなり、世界のディスプレー業界は一斉に有機ELへと舵を切っている。その流れの中で、JDIは液晶でなければならない新しいディスプレー需要を自ら開拓しなければならない。それができなければ、中国勢との泥沼の価格競争に巻き込まれるだけだ。JDIの実行力が今、問われている。

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