「テレビ事業を続けていくためにも、『次の未来』に備えることが必要だと考えた」

 有機ELテレビ事業を統括する、HEマーケティングコミュニケーション担当役員、イ・ジョンソク常務はこう強調する。薄型テレビの世界販売台数で1割強のシェアを持つLG。しかし、液晶テレビの汎用モデルは中国勢の低価格攻勢にあっており、競争環境は厳しい。だからこそ、同社の強みが最大限発揮できる有機ELテレビに賭ける思いは大きい。

 有機ELテレビは過去、ソニーや韓国のサムスン電子などが自社で開発を手がけてきたが、採算が合わず撤退した歴史がある。なぜLGだけが有機ELテレビを続けられるのか。その理由についてイ常務は「LGディスプレーとLG電子で共同のプロジェクトチームを作り、有機ELテレビを開発している。互いにパネルの特徴などを理解できているので、最大限に強みを引き出せる設計やデザインにできる」と話す。

有機ELテレビ事業を統括する、イ・ジョンソク常務(写真:シン・スクミン)

価格は適正。「下げる必要はない」

 気になるのが、販売実績。LG電子側は具体的な販売台数を明らかにしていないものの、IHSグローバルの統計によると、2015年の世界の有機ELテレビ販売台数は50万台で、そのほんどをLG電子が占めていると見られている。

 液晶テレビの世界販売台数である2億7200万台に比べると驚くほど小さいが、「私たちがターゲットにしている市場はプレミアム市場」とイ常務は強調する。

 中国やインド、新興国などで数が出るテレビの多くは低価格モデルだ。2500ドル以上のプレミアム市場にだけ目を向ければ、既に世界市場の3割が有機ELテレビに置き換わっているという。

 注力する市場は、「韓国と欧州、米国」(同)だが、日本でも5月下旬から有機ELテレビの2016年モデルを販売している。価格は65インチで90万円前後(税込み)。55インチの低価格モデルでも47万円前後だ。液晶テレビに比べて高すぎるとの声もあるが、「韓国、欧州、米国での現在の需要状況を見れば、値を下げる必要はないと考えている」(イ常務)と、プレミアム感を維持するためのこだわりは強い。