トヨタとホンダに注目している

一方で、IoT市場の広がりはまだ先になるとの見方もあります。言葉が先行し、実態が伴っていない状況があることも事実です。

トロロープ:それはまだIoTが初期の段階だからでしょう。よく鶏と卵に例えられますが、IoTビジネスの価値が分からなければセンサーメーカーは新しいセンサーに投資することはできないし、センサーが登場しなければ新しいサービスは生まれない。だからこそ、稲葉さんのような先見性、ビジョンが必要なのです。

 IoTとは、プラスチックのようなものだと考えています。1950~1960年代に新素材としてプラスチックが登場し、あらゆる分野が変わっていった。素材などの製造業だけでなく、サービス業などにも広がりました。その変化に対応できない企業は淘汰されたわけです。

 抜本的に産業構造が変わります。その時、企業は考え方を変えなければなりません。(製造からサービスへの重心を移している)米ゼネラル・エレクトリックはその筆頭でしょう。事業を一から考え直すくらいの転換が必要になります。

 私はIoTの到来によって、フォーチュン500にランクインしている企業の4割が消滅するか、地位が大幅に下落すると予想しています。10年前、米ウーバーの登場でタクシー業界がこれほどダメージを受けることを誰も予想できなかった。こうした破壊的な変化が、あらゆる産業で起こり得ると考えています。

企業が一歩を踏み出すためには何が必要ですか。

トロロープ:まずは、自社の製品やサービスがインターネットと繋がった時にどんな変化が起こるかを想像することです。その上で、顧客との関係の変化を読み解く。最後に、デジタル化に向けて会社の文化を変えることが必要になります。

 米ネットフリックスはその好例でしょう。彼らはもともと、DVDのレンタルショップでした。それが、インターネットとの接続を利用して、現在のようなストリーミング中心のビジネスモデルを考案した。サービスを売る会社になった。5~10年で、社内の文化もがらりと変えたはずです。

注目している日本企業は。

トロロープ:(共同開発を発表した)ファナックとプリファード・ネットワークスがその筆頭です。他にも、先見性を持った企業がたくさんあります。例えばトヨタ自動車とホンダ。自動車産業自体のポテンシャルもあるし、投資意欲もあります。我々は世界中のあらゆる企業をつないでいきたいと思っていますよ。