みんなが本当にそんなに長く使うとも思えませんが、でも彼女たちの頭の中には、自分がルイ・ヴィトンを買うことの納得感が必要なわけです。そのときに、「おしゃれをしたい」ということではなくて、「いいバッグは長持ちするから、決してむだな買い物じゃない」と思えることは重要なのです。

 タイタニックのルイ・ヴィトンの話は、そういう「丈夫で長持ち」という話とリンクしています。彼女たちがタイタニックの話を知っていたかどうかは分かりませんが、そういうふうにルイ・ヴィトンのイメージがうまく伝わっていることは高い価格でも売れる理由の一つだと思います。

「何のために(Why)」という理念が共感を呼び起こす

 買い手の「納得感」に関して、サイモン・シネックという人が提唱しているゴールデンサークルという考え方があります。

 これは何かというと、マーケティングを展開するときに「What」「How」「Why」のどこから始めるのがいいかを示したものです。

■図 「Why(なぜ)」→「How(どうするか)」→「What(なに)」のゴールデンサークル

 Whatというのは、「うちの製品にはこんな機能があります」「こんなに品質がいいんです」ということです。Howというのは、「うちの製品やサービスはこういうふうに使ってください」「こういう効能があります」ということです。Whyというのは、「なぜ私たちの会社はこういうことをやっているか」ということです。

 サイモン・シネックによると、今世の中で成功している企業、ブランドロイヤルティーが高いといわれている企業は、Whatからではなくて、Whyから入っていく。つまり、我々は何を目指しているのかということから始めて、それを具現化するためにはどういう方法が必要なのかを考えて、それを具体的に製品やサービスに落とし込むとこうなるという流れを重視するというわけです。

 別の言い方をすると、まず目的を明確にして、プロセスを考えて、最後に製品に落とし込んでいく。こういうふうにアプローチしている企業が、消費者の心をとらえているというのが、このサイモン・シネックの言っていることです。