利益率を基準にした分布図から「儲かる店」の存在と比率を検証してみよう。
利益を公表する店は絞られるが、そのなかで利益率が10%を超えるラーメン店は約6%、15%を超える店は1.5%にすぎない。このあたりが儲かる店の1つの目安となりそうだ。
従業員数と利益率はリンクしない
今回の共同研究では、従業員数は一人当たりの月間売上高と相関関係があることがわかった。一方、従業員数と利益率はリンクしないことも明らかになった。人を増やし経営規模を拡大することで売上高が伸びても、利益がついてくるとは限らない。
儲かる店は事業規模にかかわらず、一定数存在しているといえる。山本准教授は「店員が多くはやっているように見えるラーメン店が突然閉店したり、店主だけのラーメン店が生き残っていたりするのもこのためではないか」と話す。
ラーメン店の経営者は男性が圧倒的に多く、女性の経営者は8%ほどにとどまる。ただし、経営者の年齢や業歴などの条件をそろえたうえで利益率を比べると、女性の経営者のほうが高い傾向がある。「詳しい状況はわからないが、男性の経営者とは違った経営アプローチをしている可能性がある」(山本准教授)。
地域別にみた場合、売上高は地域による優位な差はなかった。東京は人口が多く経営環境に恵まれているが、その分競争が激しく、売上高は他地域との差があまりない。一方、店舗の運営面では、東京は物件の賃貸料や人件費などが他のエリアに比べて高い。このため、東京のラーメン店の経営を圧迫している可能性がある。
山本准教授は「必ずしも売上高の大きい東京のラーメン店が優位なわけではない。むしろ競争の少ない地域を見出し、固定客を獲得することが重要ではないか。経営者は売上高を伸ばすのでなく、まずは利益率を向上させることを意識すべきだ」と話している。
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