「肉山」では来店時に最高の状態で赤身肉の料理を提供できるよう、準備に余念がない

食材の仕入れでのこだわりや、心掛けている点は何ですか。

 私は元・高校球児で、野球部の後輩に、肉の卸売りをしている人がいます。その後輩のサポートを得て、良い赤身肉を仕入れています。

 それから2つ目に、絶対売れるという自信と覚悟を持って、食材を早めに調達するよう心掛けています。既に、年末まで使う食材の発注をほぼ終えています。これは良質な赤身肉を、他の飲食店が買い付ける前に確保する狙いもあります。

 そして3つ目が、取引先に仕入れ代金を早めに支払うことを心掛けて、振り込み手数料分を引かずに支払います。これは私が以前、業務用の酒販店で働いていた際に抱いた疑問を踏まえての対応です。取引先の飲食店で、仕入れた酒代から振り込み手数料分を引いて代金を支払う飲食店があまりにも多かったのです。数百円の振り込み手数料を渋る前に、収益を伸ばすために打つ手は他に色々とあるでしょう。こうした自分さえ儲かれば良いという発想では、取引先と良好な関係を築くことはできません。

牛ホルモン人気も作る

「肉山」の前にも、ホルモン焼き店の「わ」を繁盛店に育てました。成功の秘訣を教えて下さい。

 「わ」は2002年にオープンしました。当時、大阪では一般的だった牛ホルモンの料理を出す飲食店が、東京にはほとんどなかったことに注目しました。焼酎がブームだったこともあり、東京で牛ホルモンと焼酎を手頃な価格で提供すれば流行ると思いました。酒販店を辞めて、飲食店経営は初の挑戦でしたが、料理と酒を500円均一で提供し、人気店になることができました。

 「わ」で扱う牛ホルモン、「肉山」で提供する赤身肉とも、今では他の多くの店で提供する食材になりました。私は先駆者としてこれらの食材に目をつけ、流行らせてきたという自負があります。

人手不足が深刻な中で、スタッフの確保・研修をどう進めていますか。

 「わ」をオープンして以来、広告宣伝やアルバイトの募集費は1円も使っていません。バイトは店内で募集するのみですが、スタッフ確保にはそれほど困っていません。

 接客などの研修はほとんどせず、スタッフの常識に任せています。以前、髪を染めたまま応募してきた子がいました。「そのままバイトをして大丈夫か大丈夫でないか、自分で考えなさい」と私が話すと「さすがにこれでは無理かな」と言うので、「その感覚で良かった」と答え、採用を決めたことがあります。