揚げ物を減らしコーヒー導入

藤井:揚げ物は減らしました。調理に時間がかかり、調理コストなどを合わせると負担が大きいからです。お腹も膨れやすいので、手に取る寿司の皿数が減ります。

 スシローでは代わりにコーヒーの提供を始めました。すし店でコーヒーという斬新な組み合わせが受け入れられるか社内では反対意見もありましたが、食後にコーヒーを飲みたかったお客様もいて、客単価の上昇につながりました。

 サービス面では、アプリで席の予約をできるようにしました。これにより、ずっと店で並ばなくても店に入れるようになりました。アプリではテイクアウトを注文できるようにもしました。タッチパネルの注文とアプリを組み合わせてビッグデータで分析すれば、お客様の好みも的確に把握できるでしょう。

すし店の市場をどう見ますか。

藤井: 健康志向、日本食ブームなどを追い風に、市場規模は年率5~6%で伸びています。市場の3分の2は伝統的な握りずしや、立ち食い寿司。その中で回転寿司の質は以前より上がっています。ただ1皿100円でも美味しい店は他にも多く、新規参入もあり、油断はできません。定番メニューの質を維持しながら、新しいサプライズをいかに用意するかが勝負です。この仕組みづくりにおいて、当社などファンドの活躍する余地があると考えています。

スシローに投資後の成果は。

藤井: 2012年に投資後、売上高はこれまで2割超、増えました。現在の店舗数も430店と投資前から3割増えました。今後の新規出店も予定しています。元・日本航空副社長の水留浩一氏をスシローの社長に迎え、CFO(最高財務責任者)、マーケティング、店舗開発の担当者も外部から招いています。

 当社や、外部出身の経営陣が主導して様々な施策を打ち出すと、時には生え抜き社員たちの抵抗を招くことがあります。その時は納得するまで議論します。

 経営には、常に仮説と検証のプロセスが大事だと考えています。10の新しい取り組みのうち1つしか成功しなくても、新しい取り組みを続ける。その繰り返しが今後の外食業界には必要だと考えています。

当連載は、日経ビジネス2016年5月16日号特集「外食崩壊 ~賞味期限切れのチェーン店~」との連動企画です。あわせてこちらもご覧ください。
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