国内外食業界の先行きをどう見ますか。

ペルミラの藤井良太郎・日本代表(写真:北山 宏一)
ペルミラの藤井良太郎・日本代表(写真:北山 宏一)

藤井:2008年のリーマンショック後、数年間続けて回復してきた景気の先行きに不透明感が出てきています。人口減少や、コンビニ・宅配食などとの競争も激しくなり、明るい状況とは言えません。ですが3つの取り組みを進めれば、伸びる余地があると考えています。

驚きと価値を提供

藤井:まず美味しい、楽しい、安いといった価値を、驚きとともに提供できること。全てのお客は食の専門家のような存在で、仕入れに手を抜かず、清潔感ある店を作るなど、基本が出来ているところが伸びます。例えば焼き鳥チェーンの鳥貴族は店で鶏肉に串を打つから美味しくできるし、メニューも280円均一で手頃です。立ち食いステーキも、他のステーキ店で食べられるのと同等の高品質の肉が手頃な価格で出てきます。一方で様々なメニューを出す居酒屋は苦戦し、ファミレスもどんどん専門化に向かっています。カテゴリーを定め、その中で何を出すかが必要です。

 2つ目が、他社が真似できない仕組みを作り上げること。外食は参入が容易な市場なので、差別化が大事です。外食は上場企業だけを見ても90社近くあります。コンセプトが面白くてお客さんが評価すると、数十店舗まではブーム的にすぐ出せます。ですが、さらに大きくするのはなかなか難しい。成長を加速するには、それまでとは別の仕組みが必要です。この仕組みを作りきれずに失速する企業も多いのです。

 そして3つ目が、健康志向を前面に打ち出すことです。これは世界的なトレンドです。当社の投資先のあきんどスシローは、この3つの点を意識して経営しています。

スシローはどのような取り組みをしていますか。

藤井:まず食材の質にこだわり、原価率を高く維持しています。1980年代の創業当初から約50%。他の回転寿司は100円寿司で40%中盤くらい、価格帯が高めのグルメ寿司では40%を切っているところもある。ファンドだからコストカットしていることは全くない。経営規模が大きくなり、食材の買い付けで有利になると、その分をお客様に還元することを目指しています。

 最近の取り組みでは、店内でハマチやタイなどの皮引きを始めました。切り身のサイズが変わり手間もかかりますが、この方が味は良くお客様に評価されます。工場など店以外の場所で皮を引くと加工コストが抑えられスタッフのトレーニングも不要ですが、これでは味が落ちるのです。

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