人口減少や、コンビニエンスストアなど中食との競争激化に直面する国内外食業界。だが工夫次第で成長の余地は大きいという。ファミリーレストラン大手すかいらーくや宅配ピザ大手ドミノ・ピザジャパンに投資してきた米ベインキャピタルの杉本勇次・日本代表と、回転寿司大手あきんどスシローに投資する英ペルミラの藤井良太郎・日本代表に、それぞれ先行きを聞いた。
*当連載は、日経ビジネス2016年5月16日号特集「外食崩壊 ~賞味期限切れのチェーン店~」との連動企画です。
国内外食業界の現状をどう見ていますか。

杉本:非常に魅力的だと考えています。世界3位で20兆円を超える市場規模があり、多くの人が毎日、朝昼晩とどこかで外食を利用します。人が口にする食べ物は非常に保守的なもので、日ごろ慣れ親しんだものを変えにくいし、変えるとしても時間がかかる。日本人の味覚をしっかりと理解している国内企業が有利で、海外の外食企業が市場を席巻することは考えにくいです。革新的な技術が生まれて一瞬で市場が変わることもありませんし、相対的に安定した市場といえます。
人口減を相殺する2つの好材料
杉本:今後は人口減少など市場規模の縮小要因がありますが、それを相殺する2つの好材料があります。
まずは高齢化で労働人口が不足するにつれ、女性の社会進出がどんどん盛んになります。外食する機会が増え、1人当たりの外食支出が増加するでしょう。次に海外での日本食ブームを受けて、訪日外国人による外食需要も継続的に伸びるでしょう。市場規模としては現状から安定、あるいは微増するのではないでしょうか。
外食産業が抱える課題や弱みは何ですか。
杉本:まずは「人」の問題です。これは当社が投資するすかいらーくなどテーブルサービスのレストランで言えますが、お客はみな、良いサービスを受けたいと思っています。店に行っても従業員が少なく、サービスの質が悪いと、お客の満足度は極端に下がります。いかに人材を確保し、教育・トレーニングして、良いサービスを提供し続けられるか。
これは製造業とも、コンビニエンスストアなど中食の業界とも違います。コンビニは良い商品を開発して店頭に並べれば、お客の支持を得られる「プロダクトドリブン」の業界です。一方、レストランは、良いサービスを従業員が提供すれば評価される「サービスドリブン」の業界といえます。いかに良いサービスを提供できるかがカギになります。
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