家業を継いで業績を伸ばした人を非課税にしてはどうか

 ファミリービジネスにとって大きな課題の1つは、同族の息子が家業を継がないことだ。後継者不足が指摘され、継がない理由は相続贈与のリスク、カッコ悪い(親の七光りといわれる)ことが大きい。

 これに対して、あれこれをひっくるめて、私は「親の七光り税制」を提案したいと思う。

 簡単に言えば、家業を継いで業績を伸ばした人は非課税にし、逆に業績を落とした人には重税を課す。もしこの税制が導入されたら、家業を継いだ人も「リスクを取っている」と皆が分かり「カッコ悪い」と感じることもなくなる。後継者はリスクを取り、成果を認めてもらう。

 そもそも家業を継ぐことは「立ち上がりのリスクが軽減されているベンチャー」とも言える面がある。ベンチャーは立ち上げのリスクが大きく、成果が出るまでに時間がかかることを考えたら、後継者は生かせる経営資源をまず生かすことを考えるべきだと思う。そしてこんな税制がもしあったら、後継者のモチベーションはさらに高まるのではないか。

 米国の大学で開かれるファミリービジネスのプログラムでは、経営者は4つのステージがある、と教えているという。(1)ビジネススキルを身につける、(2)ビジネスでやっていいことといけないことを区別する、(3)自分のビジネスの価値観や将来性を認識する、(4)次世代に引き渡す、の4つだ。

 自分の経験も踏まえて、特にしっかり伝えておきたいのは(4)についてだ。

 私はよく「ファミリービジネスは駅伝である」と言っている。同族企業では駅伝のタスキのように経営を世代間で受け継いでいく。だからこそ、円滑に引き継ぐには、タスキを受ける子世代だけが準備をすればいいのではない。タスキを渡す親世代にも、それに見合った準備と覚悟が必要なのだ。

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