その結果、高かったのが「ファミリーが筆頭株主でファミリー出身の役員が1人以上いる」場合。株式投資収益率は1.97%で、非同族企業を0.5ポイント上回った。所有、経営の両面からファミリーの関与度が最も高いのがこのケースで、同族の存在感の大きさが投資収益率の高さと重なっている可能性がある。

 これに対して、経営面の関与度が低い「ファミリーが筆頭株主だが、ファミリー出身の役員がいない」ケースの株式投資収益率は1.78%、所有面の関与度が低い「ファミリーメンバーが上位10位までの株主でないが、会長あるいは社長を輩出している」ケースでは1.74%となり、平均を下回った。

 今回の調査では、投資収益率の高さの優位さをもたらす要因を探るために、財務分析も同時に行った。内部投資のみで実現できる成長を示す持続可能成長率(自己資本利益率×内部留保率)や株価純資産倍率(PBR)では同族企業が優位だった。

 調査を担当した荒尾氏は「同族企業の業績と株価の関係などについてはまだわからない点も多く、今後さらに調査を進めたい」と話している。

格付けとファミリービジネス

 同族企業であることが企業の格付けを決める因子の一つである可能性も浮上してきた。

 鹿児島国際大学の今村明代教授は格付け機関による格付けと相関性の強い倒産予知モデル(白田佳子氏によるSAF2002モデル)を使い、高格付けの企業群と低格付けの企業群の違いを判別する要因を分析した。調査は製造業約1300社が対象。

 その結果、要因の1つとして「ファミリーメンバーが取締役会にいるかどうか」が浮かび上がった。

 格付けが高い企業群だからといって、ファミリーメンバーが取締役会にいるとは限らない。それでも、低格付けの企業に比べてファミリーメンバーが取締役会にいる可能性が高い。

 今回の調査では、高格付けの企業群と低格付け企業群の違いについて、総資産利益率(ROA)や総資本留保利益率といった項目もあることがわかった。