同族企業に対する投資効果の有意さが浮き彫りになった

 同族企業はそうでない企業と比べて株の投資収益率が高い――。株式市場と同族企業をめぐり興味深い研究結果が日本経済大学の後藤俊夫特任教授らによる「ファミリービジネス白書2018年版」で明らかになった。同族企業はともすれば不祥事や親族対立など負の部分に目を奪われがちだ、しかし、市場関係者は冷静な視点でファミリーによるビジネスを見つめている。

株式投資収益率で同族企業が優位

 同族企業と株価についての調査は同書の編集メンバーの1人で、ほがらか信託の荒尾正和執行役員らが実施した。対象は上場企業で、2017年3月末を起点にして、過去5年の株式投資収益率の平均などを同族企業と非同族企業に分けて比較した。

 その結果、株式投資収益率はこの期間、同族企業が1.84%だったのに対し、それ以外の企業は1.46%となり、同族企業が約0.4ポイント上回った。株式投資収益率は株の投資額に対してどのくらいの収益率があったかを示す値で、投資効果を計る指標の1つとして知られている。それだけに同族企業に対する投資の有意さが浮き彫りになったといえる。

 同族企業は非同族企業に比べて好業績であることがこれまでの研究から明らかになっている。株の投資収益率と業績は必ずしも連動するわけではないが、同族企業が両方で優位な結果となった。

特に高いのは「ファミリーが筆頭株主+出身の役員が1人以上」

 荒尾氏らはさらに、同族企業をファミリーの影響力による違いをみるために、株の所有比率、役員構成人数に分けて株式投資収益率の違いを詳しく分析した。