
日本の企業のほとんどは中小企業であり、その大半を同族企業が占めることは広く知られている。ファミリーによるビジネスが嫌いでも、関心がなくても、ビジネスにかかわると無縁ではいられない。
それならばまずは同族企業とはどんな存在なのかを知ることが大切だが、日本経済の主役の一つであるにもかかわらず、その実態が意外なほど知られていない。この連載では最新の研究成果と経営者や後継者の生の声から、それまで知られていない同族経営の真実の姿を明らかにする。
まず知ってほしいのは、同族企業は業績面で非同族企業よりも優位だということが、これまでの研究で明らかになっている。
同族経営は古い統治形態と捉えがちで、そうした人にとっては意外かもしれない。しかし、特に2000年代に入ってから進んだS&P500やフォーチュン500などを対象にした米国の研究、さらにドイツなど欧州各国の研究によって、その業績の優位性は海外では広く知られている。
業績面での優位さは実は日本も同じだ。例えば上場企業を対象にしたこれまでの研究から売上高成長率、総資産利益率(ROA)などの点から同族企業が優位であることが、明らかになっている。
しかし、問題はその先、にこそある。
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