ミールワームのキャラメリゼ。ナッツとエビのような香りのハーモニー
ミールワームのキャラメリゼ。ナッツとエビのような香りのハーモニー

 キャラメルで表面をコーティングしているせいか、表面は少し硬い。幼虫のような見た目から、中は柔らかいだろうと想像していたが、乾燥していた。2度ほど噛むと、口の中にナッツのような香ばしさが広がった。さらに噛み続けるとエビのような香りに変化した。

 正直、ミールワームを口に入れるまでは、飲み込むことができず、吐き出してしまうのではないかという不安を感じていた。なぜなら、テレビ番組で昆虫食に挑戦したタレントが飲み込めず、吐き出す映像を数多く見てきたからだ。

 しかし、食べてしまうと、臭みや苦味などはなく、見た目を除けば普通の食品だった。篠原さんは「昆虫食の課題は先入観やネガティブな印象をもたれていること。非常においしいものなど突き抜けたものが出ない限り、ブレークしない」と指摘する。

記者が感じた「罪悪感」

 食べるまでは恐怖を感じていたが、食べ終わった後に感じたのは、意外にも罪悪感だった。牛や豚などの肉では感じたことのない「生き物を食べた」という罪悪感に襲われたのである。

 おそらく、スーパーで買ってくる肉を食べても罪悪感を感じないのは、既にカットなどの加工がされており、「生き物」としてあまり意識することなく購入し、食べているからだろう。だが、記者が食べたミールワームは、生きていた時の形がそのまま残っていた。もちろん、キャラメルでコーティングされているとはいえ、「小さな命を丸ごと食べた」という感覚がある。

 ちなみに食べた直後は罪悪感を感じるくらいで体調に変化はなかったが、30分後に胃が音を立てながら激しく動き出した。食べ慣れないものを胃に入れたせいか、それとも見た目が衝撃的なものを食べたことを脳が認識したのか、原因はわからない。ただし、その日は大事を取って夕飯を食べずに就寝した。

 篠原さんには、食べておいしい昆虫のトップ5を上げてもらった。そのリストは以下のとおりだ。

篠原さんが選ぶ美味しい昆虫トップ5
篠原さんが選ぶ美味しい昆虫トップ5

 篠原さんは4月23日、昆虫食の楽しさを伝えるイベントを開催した。その際には、ミールワームのカナッペやコオロギのパスタなどを振る舞ったという。集まったのは男女20人ほど。タガメを漬けたジンで作ったジントニックを飲むと、「普通のジンより、こっちの方がおいしい!」と歓声があがる。コオロギのだしで作ったパスタも好評で、「絶品なのでコンビニに並べてほしいです」と要望が出るほどだった。

昆虫食イベントで振る舞われた、ミールワームのカナッペやコオロギのパスタなど(写真:陶山 勉)
昆虫食イベントで振る舞われた、ミールワームのカナッペやコオロギのパスタなど(写真:陶山 勉)

 篠原さんのような昆虫愛好家を除けば、昆虫はその見た目からそのまま食べることに抵抗を感じる人は少なくないはずだ。記者も、取材前と比べれば昆虫食に対するイメージは良いものに変化したとはいえ、昆虫を日常的に食べるにはまだまだ、精神的にも身体的にも負担が大きくかかりそうだ。