日本企業は競合企業と喧嘩をしてでも顧客を奪う姿勢が乏しくなってきたと言われている。だが地方に目を向ければ、喧嘩をしてでも勝ち抜く心意気を持つ経営者がいた。彼らに共通するのは地元を愛し、着実に事業を拡大していること。
地方の経営者事情に詳しいトーマツベンチャーサポートの前田亮斗氏は「地元で積極的に採用し地域に貢献することを大事にしている。もうひとつの特徴が争いごとにめっぽう強いこと」だと話す。
経営者が多く通う格闘技道場「士心館」の林悦道館長も「街での喧嘩と企業間競争は本質的には同じ。その手法は企業経営にも当てはまる」と断言する。
林館長は自らが地元の繁華街「柳ケ瀬」でボディガード業などで培ってきた実践的喧嘩術と、喧嘩に強い企業経営者の戦い方は共通項が多いという。今回、林館長の実践術と経営者たちの考えを元に企業が勝ち残るための6つの奥義としてまとめた。

喧嘩の奥義1 敵を減らして、味方にしてしまえ
林館長によると、盛り場の喧嘩では1人に対して大勢となる場合があるという。野次馬も加勢することがあるからで敵と味方を選り分けて、戦うべき相手を絞り込むことが重要だと指摘する。「エネルギーを集中させて敵と向き合うことが勝つために不可欠」(林館長)。
この奥義を経営で実践するのがマンション管理を軸に成長してきた合人社グループ(広島市)の福井滋会長だ。
合人社グループは広島県のシェアで7割にも達した時があったほど強い。同社はマンション管理組合に対し費用を他社よりも平均33%安くするサービスを提供している。低価格を強みにシェアを拡大してきた。福井会長は「うちが安いのではない。他社が高いだけ」と話す。そんな口ぶりから同業他社から疎まれている。
だが福井会長は意に介さない。「同業他社から好かれるなんておかしい。悪口を言われているのは百も承知」(福井会長)。マンション管理業界はデベロッパーの系列会社が過半を占めているため、提供価格が高止まっているという。そこにIT(情報技術)と業務効率の考え方を取り入れて業界に参入した。
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