インドの結婚式市場に照準

 パナソニックもインドを攻めている。ビデオカメラ事業を強化しているが、日本とは異なる手法で挑んでいる。それが結婚式需要を狙ったものだ。

 日本の結婚式需要は少子化の影響もあり市場は横ばい傾向にある。派手な披露宴を行わないことも影響している。ところがインドの結婚式はとても派手で、生涯年収の3割をつぎこむとまでいわれている。少し裕福な家庭になると1000万円ほどかけて、スタジアムを貸し切り、5000人ほどを招いて夜通し開くのだという。しかも未婚者は約6億人もおり、年間2000万組の結婚式が行われる。日本(約64万組)と比較すると約30倍の規模で、量でも金額でも大きな市場なのだ。

 インドでは結婚式需要を見込んだ周辺事業も盛んだ。結婚式を専門にしたウェディングフォトグラファーが40万人もいるとみられる。パナソニックインドのメディアエンターテインメントビジネスグループの住谷茂樹シニアグループマネージャーは「機材ひとつで独立できるのでインディアンドリームとして憧れる若者も多い」という。

 こうしたカメラマンの要望を吸い上げるために、パナソニックはインド各地に技術者やマーケティング担当者が出向いた。パーティーに参加し、どのような機能が求められているのかを調べ尽くした。

 そのなかで得たのが暗い場所でも明るく撮影できる技術が求められていた。夜にパーティーが行われることが多く、綺麗に撮影するための機能が求められていたのだ。さらに大勢の招待客を撮影できるように広角レンズを求めていた。

 他社はほかの国と同じ機能の機種を展開しているが、パナソニックはインドのウェディングカメラマンの要望を丁寧に吸い上げた。高性能なカメラで撮影していることをわかりやすく表現するために、パナソニックのロゴが入った撮影用のジャケットも作った。こうした取り組みの結果、ムービー部門で首位をキープできている。

 さらにパナソニックは結婚式関連の新しい需要を取り込もうとしている。プロジェクションマッピング技術などを使い、結婚式の演出サービスを提供する。国内では大型イベントや公共施設向けに販売するものだったが、インドの大規模な結婚式にも適すると考え展開することにした。

 結婚式に1億円以上をつぎこむ人たちをターゲットに売り込んでいる。これらで競い合うのは現地のウェディング演出会社となる。「日本でいえばライブコンサートの規模。これらのノウハウを活かしていきたい」(住谷マネージャー)。こうした日本での経験を、成長が見込める市場で活かすことで収益を拡大したい考えだ。

パナソニックはインドの結婚式に照準を合わせたマーケティング活動を展開して他社を引き離している