経営者の占いでは、3種類のうちどれが最も多く活用されるのだろうか。渡辺さんによると、「組み合わせて占うことが多い」そうだ。

 例えば、「この案件をこのまま進めてもいいか」という相談が占い師にきた場合。「命占」によって、社長の運気が現在いいか悪いかを判断。そこに加えて、「卜占」によって案件の吉凶を占う。命だけ、卜だけ、相だけ、とするよりも、より確実に未来を見通すことができると言う。

 「『この数字の組み合わせだったときは、今後こうなる可能性が高い』といった、4000年以上蓄積された統計データを基に、占い師が鑑定結果を伝えている。占いは検証とデータ蓄積の繰り返し。今もデータは蓄積され続けている」(渡辺さん)。

 日本では「怪しいもの」というイメージが強く、表立って「占いを活用している」と公言している経営者はいない。しかし、三菱財閥の創業者、岩崎弥太郎氏も風水や易学をビジネスに活用していたと言われている。2010年に放送されたNHK大河ドラマ「龍馬伝」では、岩崎氏が易占いで事業の成否を占うシーンが登場。事実に即していると言われ、新たな試みに挑む際は成功確率などを易者に聞いていたそうだ。

30年にわたる鑑定歴を持つ「小塚易学研究所」(静岡県掛川市)の小塚竹司さん。ビジネスパーソンからは、工場や新規店舗の建設場所や進出のタイミングなどを占ってほしい、といった相談があるという

 台湾に比べると少ないが、現代の日本でもビジネスに関するアドバイスを占い師に求める人はいる。

 静岡県掛川市。閑静な住宅街の中の一軒の洋風の家の外に、「小塚易学研究所」と書かれた看板が立つ。「週末を中心に、ビジネスパーソンや主婦などが鑑定に訪れる」。こう話すのは30年の鑑定歴を持つ小塚竹司さん。自宅2階にある一室で、算木(さんぎ)と筮竹(ぜいちく)と呼ばれる道具を使い「易占い」をしている。

 ビジネスにまつわる相談では、工場や新規店舗の建設場所やタイミングなどを占ってほしいと、訪ねてくるビジネスパーソンが多いという。場所柄、近くに工場を構えるホンダやスズキ、ヤマハ発動機など大手企業の社員も小塚さんの元を訪れているそうだ。事業の先行きだけでなく、会社の人間関係を見てほしいといった要望も多い。鑑定料は30分4500円。

「占い」は背中を押す一手

 自分たちの将来や会社の方針が「占いで決められてたまるか」と考える社員もいるだろう。しかし、経営者は孤独。どれだけ回りの人に相談したところで、最後の最後は自分自身で決断しなければならないし、その責任は自身で背負わなければならない。明日なにが起こるか分からない「VUCA」の時代には、スピードもって決断することも必要とされる。

 つまり、占いや風水などの言葉は、孤独な経営者が意思決定をする際の唯一の支えとなる。どうすべきかと迷って一手が遅れるくらいなら、「占い師に聞く」。それで企業や事業部門が成長を遂げるのならば何の問題もないはずだ。