日本でもバブル崩壊後に商品券などを実施した例はあります。

ターナー そうした施策が導入されたことは聞いている。しかし、私から見ると、圧倒的にマネーの供給量が少なかった。繰り返しになるが、いくらが適量かとは言えないが、その量は圧倒的に増やす必要があるだろう。

 むしろ、問題は政治だ。

 一度効果を実感すると、政治家は選挙が近づくたびに政策の実施を訴えるリスクがある。中毒性のある施策なのだ。そうした政治からの過度な干渉を避けるためにも、マネーファイナンスの政策決定機関は、政府とは独立させておく必要があるだろう。

日本はすでにヘリコプターマネーの実績がある

 しばしばマネーファイナンスは極論と言われるが、歴史を見れば実績がある。その1つは日本だ。1930年代、当時の大蔵大臣だった高橋是清氏がマネーファイナンスを実施して成功させている。実は日本はヘリコプターマネーの経験がある国なのだ。

日本はすぐにでもマネーファイナンスを実施すべきだと主張していますね。

ターナー 世界経済が再び失速していく中で、景気テコ入れの財政政策をとりたいだろうが、日本の不良債権はもはや危険水準を越えている。私からすれば、大きな財政政策はとれないと思う。

 一方で、金融緩和策も限界に近づいているのは周知の通りだ。債務を増やさず、需要を刺激する方法として、これまでの金融政策でない手段としてあるのは、もはやマネーファイナンスしかない。

 独立性のあるマネーファイナンスの運用ルールを確立できれば、この施策は必ず効果を発揮する。日本は過去20年以上、非伝統的金融政策を使っても思うように物価が上がらなかった。意思決定の仕組みが複雑な欧州に比べれば、はるかに実施できるチャンスはある。政府や日銀はあらゆる可能性を排除すべきではない。

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