物価がなかなか上がらず、デフレ脱却は難しい――。日本の政策担当者から、しばしばそんな声が聞こえてくる。しかし、そんな環境認識は誤りだ。景気減速が鮮明な中国では、デフレが輸出されている。韓国で、欧州で、「失われた20年」に日本で見られた光景と同じものが目に入る。米国も、長い目で見れば停滞への道を確実に歩んでいる。世界は「同時デフレ時代」に突入しようとしているのだ。光明が見えにくい低需要時代を企業は生き抜けるのか。心配はご無用。日本企業は長いデフレを生き抜いてきた。培った教訓やノウハウは、これからの時代にも通用するはずだ。
シリーズ
迫る世界デフレ HOYA、TDK、三菱ケミが示す克服法

完結
3回
-
縮む21世紀は、「先を恐れる力」で生きる
デフレの波が世界に迫る――。先駆けて長いデフレを経験した日本で、その荒波を乗り越えてきた経営者は現状をどう見ているのか。100円ショップ最大手としてデフレ時代に急成長した大創産業の矢野博丈社長に話を聞いた。
-
少子高齢化が世界を低成長に導く
日本のデフレ脱却が進まない間、韓国や欧州にデフレの足音が迫っている。一方、かつて世界の経済成長を牽引した中国は、過剰設備・過剰生産などを背景にデフレの輸出を続ける。そして、1人勝ちに見える米国にもかつての勢いはない。なぜ…
-
日本はヘリコプターマネーを本気で検討せよ
迫る世界デフレ――。欧州中央銀行(ECB)や日銀の非伝統的な金融緩和策でも、なかなか上向かない物価。そんな中、欧米ではこれまでタブーと言われてきた政策を真剣に議論すべきとの機運が高まっている。代表例が、「ヘリコプターマネ…
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回