会議で、寝る人。(うん、いるな)
会議で、とかく雰囲気を悪くする人。(あー、いるいる)
会議で、積み木ばかりしている人。(積み木はなくても、内職をしている奴はいる)
あまたある会議で、「何で、あの人がいるんだろう。イヤだな」。そう思った経験はないだろうか。
最初に結論を言うと、そんな人は今後、会議に呼ばなくていい。
「会議」は、1人では行わない。最低2人からだが、通常は3人以上が集まってこそ、会議の体をなす。そこで重要なのは、「誰」と会議をするか、「誰」を呼ぶべきか、だ。
かつて、誰もが「国民的アイドル」と認めるグループが存在した。2016年12月に解散したSMAPである。
2016年の大晦日。毎年のように出場していたNHK紅白歌合戦に、彼らの姿は無かった。その時、彼らはどこにいたのか。
リーダーの中居正広、稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾に加え、元メンバーの森且行の5人は、都内の高級焼肉店で打ち上げパーティーを開いていた。その宴席に、キムタクこと木村拓哉だけがいなかったという(参考:「日刊ゲンダイDigital」2017年1月5日記事)。
キムタクが参加しなかったのは、以下2つのどちらかだ。
- 想定A:キムタクを呼んだが、来なかった
- 想定B:キムタクを呼んでいない
これら2つには、天と地ほどの大きな違いがある。もしBの「呼んでいない」であれば、「もう、仲間ではありませんよ」という強いメッセージになる。真実は、当人たちしか知り得ない。ただ、こんな仮説を立ててみることはできる。
大晦日という1年の区切りを解散の節目とし、打ち上げを企画したのはリーダーの中居正広。中居は、元メンバーの森には声をかけたが、木村には声をかけなかった。
なぜなら、木村が参加することで「数」を揃えるより、1人欠けてでも雰囲気を上げる「和」を重視したのではないだろうか。
書籍『
ムダゼロ会議術』では、どんな会議に誰を呼ぶべきかなど、成果の上がる会議の開き方、進め方をまとめている
噂にもなっていた木村と香取の不仲、木村を軸とした意見の対立が報じられる中でSMAPの雰囲気が悪くなっていたことは、テレビを通じて視聴者にも伝わっていた。
大晦日に集まる意義が、「形式上の集合」が目的ではなく、「最後に笑いあって終わること」が目的であれば、中居リーダーの判断は適切ではないだろうか。
いや、その判断が適切かどうかは筆者が述べるべきでない。ただ確実に言えるのは、目的に応じて人選したのであれば、それは会合を開くリーダーのやり方として、最適な行動であるということだ。
会議は「3つ」に分けて、人選する
会議「前」ステージで最初に考えるべきは、「誰を呼ぶか」に尽きる。それは言い換えれば、誰を呼ばないかだ。そのためには、「会議」の性質を理解しておかねばならない。その性質別に人選が異なってくるからだ。
会議の性質は多々ありそうだが、実はたった3種類しかない。
会議には、3つの目的別種類、すなわち「決定会議」、「拡大会議」、「共有会議」がある。その種類ごとに、人員を絞り込むのだ。
それぞれ3種類の会議を説明しよう。
「決定」会議
この会議の目的は、「可決(OK)」か「否決(NG)」。そのため、決裁権者を中心に招集しなければならない。逆に、権限を持たない非決裁者は呼ぶだけムダになるので、ここは声をかけない。
- ―呼ぶ人員:決裁者、プレゼンター、ご意見番など。
- ―呼ばない人員:非決裁者、平社員。
「拡大」会議
この会議の目的は、発想の拡大や飛躍。年次にかかわらず発想力がある人を選んでいこう。男性ばかりの「拡大」会議であれば、1人女性を入れると発想力が格段に飛躍できる。逆に、決裁者はアイディアを殺してしまいかねないので、呼ばない方が賢明だ。
- ―呼ぶ人員:専門家、アイディアマン、異性。
- ―呼ばない人員:批判家、超現実主義者、決裁者。
「共有」会議
この会議の目的は、「意思伝達」。メールでも対応できるが、楽天グループの事例のように、対面する場合は、抜け漏れに注意していく。
- ―呼ぶ人員:関連者全員。絶対に抜け漏れがないようにする。
- ―呼ばない人員:部外者。
このように、会議の目的種類別に、人選をする。しかし、これは言うほど簡単ではない。
なぜなら、「一応、呼んだ方がいい人」が存在するからだ。形式上呼んだ方がいい彼らを「一応君(いちおうくん)」と名付けてみよう。対して、会議に必要な人は「必要君(ひつようくん)」だ。
会議というのは、最少人数の「必要君」で構成された方がうまく運営できる。なぜなら、意見が活性化しやすく、論点もズレにくいからだ。
しかし、「一応君」で会議の人数が増大すれば、意見が活性化しないばかりか、論点も「枝」に流れやすく、時間もかかり効率もガタ落ちしてしまう。
そんな時、会議を招集する議長はどうすればいいのだろうか。
答えは、「目的に応じて適切な人を呼ぶ」でいい。
もっと言えば、「目的を遂行できる人を呼ぶ」でいい。
いや、もっともっと言えば、「好きな人を呼ぶ」でいい。
いやいや、もっともっと言えば、「キライな人を呼ばない」でいい。
ただ、呼ばれなかった「一応君」は気分を害することになる。「一応君」は、形式的に必要とされたいため、「仲間はずれ」を嫌がるからだ。呼びたくない「一応君」へは、どう対策すべきか。
会議に呼びたくない「一応君」にどう対処するのか
15秒の手間で、不適切人員にどいてもらう。
SMAPの場合、キムタクをあえて呼ばなかったのであれば、強い「仲間はずれ」のメッセージになると述べた。2度と結成されることのないほど、亀裂が入ってしまったグループであればそれでいいだろう。
しかし、会社の「一応君」にはそんな態度は取れない。同じ職場で顔を合わせ、一緒に仕事をしていかなければならない。そのための最善の対策が、「事前・事後の共有」だ。
対人関係で軋轢を生む大きな要因が、「共有」の欠落だ。「それ、聞いてないよ」という状況がもっともマズい。
極めてカンタンなことだが、「一応君」を呼ばない場合、「事前・事後の共有」をしておくことが大事である。それさえ行っておけば、「仲間はずれ」された感は見事に消失できる。
では、具体的にどうやって「事前・事後の共有」を行うのか。以下がその対策だ。
■一応君への「事前・事後の共有」
会議前のメール共有はいただけない。ニュアンスが伝わりにくく、「仲間はずれ」感が助長されてしまう。すれ違いの立ち話でもいいので、「あ、あの件ですけど、関係当事者だけで打ち合せしておきますので結果共有だけさせていただきますね」で済む。
試しにこのセリフを声に出して読んでみてほしい。言い終えるのに10秒とかからないだろう。
しかし、この“10秒”があるのとないのでは、大きな差が生まれる。必ず、口頭共有を心がけたい。
次に会議後。これは口頭ではなく、議事録をメールなどで配布すれば良い。口頭だと逆に伝え漏れがあるし、議事録配布だと、「仲間からはずれてない」感が当人に生まれてもくる。
議事録配布するメーリングリストに名前を入れるだけなので、5秒とかからない。事前共有で「10秒」、事後共有で「5秒」。これら合わせて15秒の手間だけで、会議に呼びたくはない「一応君」を除外できる。もちろん、しこりを残さずに、だ。
会議は時間が限られている。必要な人材だけを集め、必要な議論を展開することを最優先させよう。そのことで、ああだこうだ言う人は、丁寧に「15秒ケア」だけしてあげれば、まったく問題はない。
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