「枝」を論ぜず、「幹」をつかまえているか?

 溶岩が島民に迫り、大惨事になるかもしれない危険な中で、島民をいかに避難させるか、という本質的な「幹」の議題ではなく、どうでもいい「枝」の議論に時間を費やしていたのだ。

 私が会議術の講座で受講生にこの話をすると、役人の議題のところで失笑がもれる。確かに、「幹」を論ぜず、「枝」に終始する会議は、滑稽そのものだ。そこで、受講者の失笑が収まるのを待って、語気強くこのように斬り込んでみる。

 「しかし、この話、笑えますかね。皆さんもこんな会議していませんか。似たような会議、していませんか?」

 受講者から失笑が消え、たちまち凍り付くのは、会社の会議でも「幹」から離れ、「枝」の議論を繰り返している経験があるからだ。

 三原山の後談に戻すと、国土庁の「枝」の会議が終わる深夜には1万3千人を超える島民達の避難が終わっていた。「枝」を一切無視し、「幹」の論点で動いた中曽根総理、後藤田官房長官、佐々氏が、役人たちの会議より早く行動したからだ。

 適切な議題設定は、意外と難しい。三原山の危機的状況下、あなたなら、その会議で何を論じるだろうか。

 会議術講座の受講者に向けて、三原山危機を前に会議議題を設定してもらうと、「どうやったら即座に人命を救助できるだろうか?」という議題や論点が出てくる。

 仮に、そんな議題しか設定できなければ、会議は一向に具体的にならない。具体的とは、例えばこんな議題だ。

 「1万3千人を運ぶには船は何隻必要か?」
 「それらの船はどこにいるか?」
 「全員収容するまでに、最短何時間かかるか?」
 「もっとも近くの船はどこか?」
 「どこの誰に頼めば、船を動かせられるか?」
 「港に押しかける島民を混乱させない救出ルールはどうするか?」

 この状況下なら、最低でも以上の複数議題を瞬間設定し、矢継ぎ早に答えを出さなければならない。無論、和暦か西暦かの年号を論じている場合ではない。

 そう会議は、常に以下の連続なのである。

議題(問い)→答え

 つまり、適切な「議題(問い)」が設定できなければ、適切な「答え」が出てこない。 そう「短く濃い“筋肉質”会議」で最重要なのは、議題設定なのだ。三原山危機対策会議でどれだけ時間をかけても適切な議題設定がなければ、人命救助という解決方法に至らないのと同じだ。

 「会議」が始まる前の「議題」いかんで、「うまくいく会議」と「うまくいかない会議」の行方は決まってくる。

 では、「枝」ではない、「幹」の議題をつかまえるにはどうすればいいのだろうか。
 今回は簡単に、4つのやり方を紹介しよう。