ポイントは「古今東西」+「助言」

 この公式は、会議における助言でも活用できるが、あらゆる状況にも応用できる。例えば、公式の場での「挨拶」にも使える。

 先日、山梨県甲府市で全国から集まった司法書士先生達に向けて広報・コピーライティング講座を2日間行った。その講座の最後に、年長者の先生が、代表としてご挨拶された。その先生は、山梨に誇りを持つ山梨県人だったが、山梨県人は自慢の美味しいワインを上手にアピールできていない、という自虐ネタからご挨拶された。これが、とても素晴らしい挨拶だった。

 「我々山梨県人は、アピール下手ですが、かつては違いました。山梨県といえば、甲斐の国。甲斐の国と言えば、武田信玄。武田信玄と言えば、最強の軍事集団として知られています。しかし、実際は、少資源の小国軍団でした。それなのに、最強の称号を得たのは、実は広報がうまかったのです」

 「“人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり”の言葉で自国をまとめる、“あの国が脅威になりそうだから、我が国と組みませんか”の言葉を近隣国に投げかけるなど、機を見るに敏な広報・コピーが上手だったのです」

 「まさに2日間のコピー講座は、その戦略と同じでした。本日の講座をしっかり学び、我々、司法書士が苦手とする広報やコピーの力を身に付けていきましょう。そして、顧客にもっと良いサービス、知られていないサービスをお知らせしていきましょう。今こそ、司法書士が“伝える力”を発揮すべきなのです!」

 この挨拶の内容を公式にあてはめると、次のようになる。

 挨拶を要約すると、「今日の講座を生かして、もっと広報・コピーを強化しましょう」というシンプルなメッセージだった。そこに深みがあるのは、年長者からの「古今(現在と過去の歴史的知識)」と「東西(世間や他社の知識)」の2つが加わってこそ、説得力が伴ったのだ。

かつてない決断。そんな時こそ50代の出番だ!

 少子高齢化。AIの到来。クルマがEVになると、何が変わるのか。ビジネスパーソンは、未だかつて無い予測と決断を求められる。そんな時こそ、50代が出番だ。

 筆者もサラリーマン時代の2001年に、そんな状況に直面した。当時は、外資系金融会社に属し、ダイナースクラブというカードのマーケティング部門でサービス開発リーダーをしていた。まだ30代前半だった。ダイナースカードというのは、国内初のクレジットカードで、最も入会基準が厳しいステイタスカードとして知られていた。そのため、シルバーフェースのカード1種のみでゴールドカードなどは発行していなかった。

 そんな中、黒いフェースの上位カードを発行しようという案が浮かび上がった。その案の賛否をめぐり、社内は真っ二つに割れた。

  • 賛成派:新しいことをどんどんやるべきだ
  • 反対派:上位カードを作れば、現在のカードの地位が下がり、顧客が離れる

 結論から先に言うと、黒いフェースの上位カード「ダイナースプレミアムカード」は他社に先んじて、発行された。

 それまで最上位のカードは、プラチナ、ゴールドと言われたが、現在カード各社の上位カードは、黒いフェースのブラックカードになったことを見るに、パイオニア(先駆者)として適切な決断をしたと思う。

 ただ、先例のない決断は、誰もが逡巡し、時間を要する。そんな時、50代ならどういう助言をすべきだろうか。

 上記のケースでは、実際には50代から助言をもらう機会はなかったが、筆者が理想とする助言を以下にまとめてみた。

 「我々、ダイナースカードは国内初のクレジットカードだ。その後も業界発のサービスを連発したが、ここのところ他社に劣後している。ここでもう一度パイオニア(先駆者)の原点に戻るべきではないだろうか」

 「メルセデス・ベンツもブランドを守りながら、最安価格のAクラス、高額クラスのEクラスの併存を可能にしている。ブランド価値が毀損していない」

 「これらを根拠に、私はブラック(上位)カードを発行すべきと進言したい」

 

 20代、30代が言うよりも、酸いも甘いも知り抜いた50代が言う方が、重みと質がある助言になり得たはずだ。「古今東西」を知り抜いた発言には、得も言われぬ説得力が伴うのだ。

 

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