会議とは、「インフォメーション」と「インテリジェンス」の対決である。
ビジネスパーソンである限り、悩みが尽きない「会議」。
書籍『ムダゼロ会議術』では、会議の悩みを、下の4つに特定した。
- (会議の)時間が長い
- (会議の)中身が薄い
- (会議で)何も決まらない
- (会議で)発言がない
中でも、2つ目の「中身が薄い」という悩みの原因は、会議で取り扱う「情報」にある。「中身が薄い会議」か否かは、次の問いかけで判別できる。
「会議で新鮮な『情報』を生み出しているだろうか」
実は、会議は生きた「情報」の宝庫だ。その「情報」というコトバ。英単語は、中学生で習っているはずだ。それは言うまでもなく、“Information(インフォメーション)”である。
しかし、「情報」にはもう一つの英単語があるのをご存知だろうか。
“Intelligence(インテリジェンス)”である。
「知性」と訳される方がなじみ深いかもしれないが、「情報」という意味もある。
使われ方として有名なのは、アメリカの諜報機関CIA(中央情報局)だろう。CIAは、Central Intelligence Agencyの頭文字を取ったもので、真ん中の「情報」は“Information(インフォメーション)”ではなく、“Intelligence(インテリジェンス)”だ。
インフォメーション(情報)は、インターネットで誰もがラクに入手できる単なる公開情報だ。一方、インテリジェンス(情報)は、汗水垂らして独自ルートで集める秘匿情報だ。
次のページで、筆者が整理した「インフォメーション」と「インテリジェンス」の違いを説明しよう。
上の図を見比べてもらいたい。こうしてみると、「インテリジェンス」の方が圧倒的に情報価値が高い。
あなたの会議では、新鮮な情報が生み出されているか?
会議で生きた情報(インテリジェンス)を生み出しているか。
冒頭で問いかけた「新鮮な情報」とは、もちろん「インテリジェンス」のことを指す。対して、「鮮度のない情報」が「インフォメーション」だ。
例えば大学受験の場合、次の入試に出る問題の情報は、一部の作成者しか知り得ない。それこそが多くの受験者にとって知りたい「情報」だろう。
過去問題集の通称「赤本」には、過去の問題を分析した公開情報がつまっているが、これは、数千円で誰もが買い求めることのできるもの。つまり「インフォメーション」と言える。
一方、次の入試問題ズバリの情報は、一部の作成者が極秘会議で練り上げている。それこそ新鮮で価値ある情報、つまり「インテリジェンス」である。このインテリジェンスは有識者が集い、いくつもの会議を経て、つくり上げられる。まかり間違って情報が漏れでもしたら大変な問題だ。
そこで「(会議の)中身が薄い」と嘆く諸氏に、今一度、問いかけてみたい。
「会議で新鮮な『情報』を生み出しているだろうか」
他人に聞かれたくない、決して漏らしてはならないほど価値ある情報を、会議の場でつくり上げているだろうか。こうした情報(インテリジェンス)は、ビジネス上極めて大切な「資源」であり、「武器」にもなる。
一方、単なる「情報(インフォメーション)」を得たいなら、インターネット上をブラついたり、ググったりすればいい。そこで大抵のことが分かる。企業情報なら、株価や業績、企業方針などが拾えるだろう。
ただ、それらはしょせんオープンに公開されている過去のインフォメーション(情報)にしか過ぎない。本当の価値ある生きた情報(インテリジェンス)は公開されていない。
企業トップが抱える悩み、複雑に絡んだ社内の人間関係、次の人事、ライバルに知られたくない自社の強みと弱み、未来予測に対する本音などは、簡単には手に入らない生きたインテリジェンス(情報)だ。
その生きたインテリジェンス(情報)はどこにあるのか。それは、人間同士が集う会議の場だ。
人間同士が論じ合う会議には、インテリジェンス(情報)が集まりやすい。それなのに、あなたは日常の会議でインフォメーション(情報)ばかりを論じていないだろうか。
過去情報などのインフォメーション(情報)は事前にメールで送っておけばいい。これから起こる未来への予測、対面した場で人間同士、参加者が交わすからこそインテリジェンス(情報)に練り上がっていくのだ。
インテリジェンス会議とは、頭のいい人が集まることや、知性的な議論を言っているのではない。その会議でしかつくり上げられない情報(インテリジェンス)を生み出しているかが肝要なのだ。インテリジェンス(情報)が集まる会議を目指していこうじゃないか。
では、他社はどんな会議をしているのだろうか。次回は、会議を上手に利用しているトップランナーたちの事例をご紹介しよう。
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