「ダメ。ゼッタイ。」
このフレーズというか、標語というか、キャッチコピーが掲げられたポスターを目にしたことはあるだろうか。このフレーズの前後には、「禁止薬物」「イジメ」など、この世からなくしたい、繰り返されたくない単語が添えられる。
裏を返せば、禁止薬物もイジメも、「ダメ。ゼッタイ。」と語気強く押し出さなければ、繰り返されてしまう危険があるということだ。
「ムダ会議」も全く同様である。会議にかかわるビジネスパーソンの誰もが、会議のムダを根絶したがっている。ところが、なかなか根絶には至っていないのが現状だ。
だからこそ、書籍『ムダゼロ会議術』では上のイラストにある通り、「ムダ会議。ダメ。ゼッタイ。」と押し出してみた。
では、「ムダ会議」をどうやって根絶し、「ムダゼロ会議」を実現していけばいいのか。そのノウハウを余すことなく紹介したのが、書籍『ムダゼロ会議術』だ。本連載では、ダイジェスト版としてそのエッセンスを紹介していこう。
巷の会議本とは違う3つの特徴とは
ダイジェスト版の原典となる『ムダゼロ会議術』では、星の数ほどある「会議本」とは大きく異なる3つの特徴がある。
これをキーワードにすると、「4大悩み」「紙1枚」「基本と応用」。
これからお伝えする「3大特徴」が、本記事をご覧になる読者にどんな「メリット」をもたらすかを紹介したい。
●特徴1:会議の“4大悩み”にフォーカス
名経営者、名医の共通特徴は、問題の根っこを素早く見つけることだ。
「問題特定」することなく、「問題解決」に至ることは絶対にあり得ない。
ところが世にあふれる会議本だと、方法論は色々と紹介されているが、会議の問題を素早く特定している類書は少ない。
筆者は、数多くの会議運営経験や研修受講者からの声を引き上げることによって、会議の“ムダ”となる問題を次の4つのタイプに特定した。
(会議の)時間が長い
(会議の)中身が薄い
(会議で)何も決まらない
(会議で)発言がない
書籍構成は、これら“4大悩み”にフォーカス(焦点)を合わせて、会議のムダを徹底的にゼロにすることを目指した。言い換えれば、“4大悩み”以外の悩みは対象外としている。
例えば、「遅刻者を減らすにはどうすればいいか」「全員が泣くほどの感動する会議にしたい」など、枝葉末節、抽象的な悩みの解決策は、ここにはない。すべては、4つの悩みに注力するためだ。ご了承いただきたい。
●特徴2:解決策は“紙1枚”に集約
会議の“4大悩み”に対する処方箋、つまり対策は“紙1枚”にまとめた。
これまで数万人の受講者を見てきた中で、行動に変化をもたらすのは、頭に“1枚の地図”が入った時のみであることを、筆者は知っている。誰もが使いこなす「五十音表」や「かけ算九九表」も“紙1枚”だから、頭に入りやすい。
会議の対策ノウハウも、デスク前に邪魔にならず貼り出せるようなサイズ感でなければ、頭に入らない。頭に入らなければスキルが身に付かない。
●特徴3:“基本と応用”をバランスよく構成
何事にも“基本と応用”が必要だ。
しかし会議ほど“基本と応用”が求められるものはない。
“基本”が必要な理由は、体系立った“基本”の理論を教わる機会がほとんどないからだ。
書籍前半では、“紙1枚”の“基本”を7つの対策に分けて、紹介している。
次に“応用”が必要なのは、会議の参加者が毎回異なるため臨機応変な対応が必要になるからだ。
プロスポーツ界で、20代の若手と50代ベテランが一緒のフィールドでガチンコプレーすることはほぼない。けれど、職場の会議では日常茶飯事の光景だろう。
そこで書籍後半では、会議に参加する年代を4世代(20代・30代・40代・50代以上)に分けて、各世代で力を発揮しやすい実践的応用ノウハウを紹介した。武道の「型」となる“基本”を前半で身に付け、相手との「組手(スパーリング)」となる“応用”を後半で繰り返すことで、会議術は上達する。
これらの3大特徴を読み終わった時、読者が享受できるメリットは何か。
メタボ会議が筋肉質会議に変わる?
3大特徴は、読者にどんなメリットをもたらすか。読者へのメリットは、「ムダゼロ会議の実現」。これに尽きる。
読者の皆さんが感じる通り、会議は、ムダばかりだ。
人間でいうと、ムダなぜい肉だらけの“メタボ体質”のはずだ。
だが、本書を読み、頭に入れ、行動に移すことで、必ず“筋肉体質”に変貌する。
会議が“短く濃い会議”に変わるのだ。
政府が推し進めている働き方改革では、「生産性向上」が求められている。
「生産性向上」とは、今までより少ない労力で、格段の成果を上げることだ。
日常の仕事の多くを占める「会議」にも、その波が押し寄せてきている。
「会議」そのものを変えていかなければならない。
本書の「3大特徴」によって筋肉質な「ムダゼロ会議」を実現していただきたい。
あなたは、会議で「生きた情報(インテリジェンス)」を論じているだろうか。
それとも「生きてない情報(インフォメーション)」ばかりに時間をかけているだろうか。次回は、それらの違いを紹介していこう。
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