私が企業に勤めていたサラリーマン時代、次年度の部門戦略を練り上げる泊まり込みの合宿会議があった。都心から離れた神奈川県三浦半島で行われた会議の参加者は、数十名の中堅社員が中心。私もその1人だった。

 筆者が属していたその部門は新設されたばかりで注目度が高く、経営トップの社長も黙って腕組みしながら、会議の成り行きを見ていた。

 ただ、会議の中身といえば、「4大悩み」を絵に描いたような論点の定まらぬ「長く薄い“メタボ会議”」になっていた。議論は枝葉末節に終始し、中堅社員同士のライバル心も手伝って、中々合意に至らない。

 実はこの時、超大型台風が迫り、早期に会議を収束し、撤退しないと都内へ帰還できない危険が迫っていた。しかし、会議はグダグダと一向に終わる気配もない。

 業を煮やした私は、それまで誰も使っていなかったホワイトボードに議論を整理し、論点を絞り込んでいった。結果として、会議は全員一致の戦略を構築でき、素早く収束した。

 早期に会議を終了できた参加者全員が無事に東京に戻った直後、今まさに帰ってきた沿線で土砂崩れが発生し、走行不通となった。間一髪だった。

 “会議が「人生」を変える”というのは、土砂崩れを免れたことではない。

 そのやり取りを見ていた社長が、翌年に筆者をその注目部門の責任者に抜擢昇格させたのだ。その理由を聞くと、やはり混沌とした会議を短い時間で取り仕切った姿を見て、大きな責任を任せるに足りると判断したとのことだった。

 その昇格を機にサラリーマンとして大きな仕事に挑戦できたし、現在の独立につながることになった。キャリア人生を変えるターニングポイントとなった。

 そのターニングポイントこそが、ホワイトボードに立って会議を整理した瞬間だった。

 いつの時代もビジネスパーソンに求められる2つの不変能力がある。それは、テクノロジーが進化しようがしまいが、変わらない。

 一つは、「問題解決能力」。そして、「コミュニケーション能力」だ。

 この2つの能力が備わっていれば、どこに行っても一生困ることはない。いつも、そして誰からも必要とされ続けるからだ。

 「長く薄い“メタボ”会議」から、「短く濃い“筋肉質”会議」に変革できれば、この2つの能力が備わったと断言できる。言い換えれば、「メタボ会議」と「筋肉質会議」の差は、この2つの能力の差でもある。

 皆さんには上司がいて、会議で立場上トップでないかもしれない。しかし、果敢に会議を引っ張っていってほしい。積極的に議長として、会議をリーディングしてほしい。

 皆さんが「会議」で輝くその姿は、多くの人が見ている。本書は、会議を引っ張る議長としてのノウハウをあますことなく披露した。

 「会議」のやり方を変え、会社に好変化をもたらし、叱られた人は1人もいない。

  • 「会議」が変われば、「仕事」が変わる。
  • 「仕事」が変われば、「会社」が変わる。
  • 「会社」が変われば、「人生」が変わる。

 本連載ではこれから、書籍『ムダゼロ会議術』のダイジェスト版であり、あなたの会議を生まれ変わらせるためのいくつかのエッセンスを紹介していく。