沖縄を中心にアジアを巻き込む
会議では、沖縄におけるスポーツ産業発展への可能性、地域振興と産業の創出に向けての現状と課題、クラスター形成に向けた今後の取り組み――などについて熱い議論が交わされました。

桂田さんからは「スポーツにおける地域活性化という観点から言えば、スポーツが地域で発展する可能性はある。ただスポーツ産業と言われると話は別で、人材育成と施設を利用した交流拠点があって初めて産業として成り立つと思う。このため沖縄からスポーツ知識を学べる人材育成のプログラムを作り、併せてBリーグの琉球ゴールデンキングスのようなトップチームが使用するアリーナを拠点に、周囲に発信していくことが重要だと思う」と、スポーツを起点とした新しい産業創出への提案がありました。
広瀬さんは「2002年の日韓ワールドカップでヒト・カネ・モノを注ぎこみながら成功したか失敗したかわからない状態だったのが、今の日本のスポーツ産業の成長を阻害している一番の根本原因。スポーツ産業の定義を作るうえでどこから着手するかといえば、まずヒトから。モノ・カネは資本の問題。日本のスポーツ産業を担う人材育成をする機関を作りナレッジを習得する必要がある」と、まず日本のスポーツ産業の課題と解決策について、発言されていました。
また広瀬さんは、以下のように続けました。
「皆様の意見を聞いてて危険だなと感じたのは、何故国内のことしか考えられないのかということ。沖縄が他の県に勝てるとしたらアジア圏を中心に巻き込む以外ない。地理的や気候的な面も考えキャンプ地として沖縄が最適であるということをアジア全体に広める考え方を持たないといけない。北海道が東南アジアに爆発的なブランド力を持っているのは北海道庁に出先機関があって、ニーズをつかんでいるから。
加えて具体的に提案をするならば、アジア圏内においてサッカーは大きく注目されている。だから、例えばAFC(アジアサッカー連盟)の審判の技術向上を目的にした取り組みを沖縄へ誘致すれば、各国からテレビ局がついてきて沖縄を取り上げるでしょう。メディアとスポーツ界が一緒になってスポーツ産業の場を沖縄が提供するという考え方は必要だ」
このように、発想の転換がないと危険であると、広瀬さんならではの厳しくも沖縄のことを考えた上での提言がありました。

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