伝統工芸も農業も、地域活動も営業も

 沖縄SVが社会の中でどういうポジションに立つのか? 先にも触れましたが、私の中には常にそのことがあります。クラブ創設の時、エンブレムをどのようなものにするかいろいろと考えているうち、沖縄には「いつ(五つ)の世(四つ)までも、末永く……」との想いが柄になったミンサー織という伝統工芸があることを知りました。ずっと愛されるクラブにしたいという思いで、このミンサー織の柄を取り入れて沖縄SVのエンブレムにしました。

沖縄のミンサー織の柄を取り入れた沖縄SVのエンブレム

 このエンブレムを知った内閣府沖縄総合事務局の方から、「沖縄には数多くの伝統的工芸品があるが、産業として経済的に厳しい。活性化に向けて一緒に何かできないか」と相談を受けました。 自分たちのクラブが一緒になり、スポーツと伝統工芸という異なる世界のコラボレーションを通じて新しい視点を提示できるのではないか、それが伝統工芸の顧客開拓につながるのではないかと感じ始めました。いろんな分野の人たちと試行錯誤しながらつくったウエアでしたので、まずは試しと限定販売したところ、評判は予想以上に上々で、企業の制服に取り入れていただいたり、自分がかつてプレーしたドイツやアルゼンチンからも問い合わせがあったりしました。

沖縄の伝統工芸を取り入れたスポーツウエアの製品化にも携わった

 今年は新たな伝統織物での製品化の話が来ているほか、既に発売しているもろみ酢も、フレーバーを増やそうという計画が上がっています。自分たちの持っている資源をどう理解して、いかに他者と結び付けるか。地域の潜在的な魅力を国内外に発信して新たな市場を掘り起こす、それが地域経済のさらなる活性化につながる。その結び付きやつながりで生まれる循環こそが、単なるチームをクラブという価値ある存在に変えるためのカギだと思っています。

 サッカーキャンプ事務局の仕事も、伝統工芸も農業も、地域活動も営業も――。本業のサッカーではトップチームもジュニアユースもさらに飛躍させなければなりません。合間を縫ってクラブビジョンのプレゼンもします。すべきことが多くて「時間が足りない!」というのが本音です。

 選手やスタッフ、社員たちに厳しいことを言わねばならない時もあります。同時に、このクラブに集い、つながりあう人達が互いの頑張りに応えられる組織にしなければなりません。「まずは挑戦してみる」から「どう挑戦していくか」。3年目を迎えて、自分の中で新鮮な緊張感が生まれています。