「ブルーオーシャンは公共空間にある」

三品:「モノ」としてのビジネスではなく、「データ」を売るビジネスにこそチャンスがあります。そのためには、ある製品に搭載するセンサーだけを売るのではなく、センサーを自ら設置するリスクをメーカーが取るべきです。

設置する場所はどこでしょうか?

三品:スマートフォンなどの個人所有物や、工場などの産業分野には、既に多くのセンサーが搭載されています。私は、ブルーオーシャンは公共空間にあると思っています。

 誰かに言われたからセンサーを売るのではなく、自ら自治体などに掛けあってあらゆる空間にセンサーを設置する。そしてそこで重要なのは、得られた信号に、センサーメーカー自ら付加価値を付けることです。

 例えば気圧センサーを屋外に設置したとしましょう。1つのセンサーから得られるのは、1カ所1時点の気圧に過ぎません。しかし、そこに時間を組み合わせれば、気圧の変化が分かる。複数のセンサーを組み合わせれば、気圧の流れが分かります。さらに、過去の気圧情報を分析すれば、ある地方で何分間に気圧がこのくらい変化したら雨が降ることが分かる。急激な変化によってゲリラ豪雨が発生すると分かれば、注意報や警報を出すことができる。

 つまり、情報は加工すればするほど付加価値が高くなっていくのです。私が先ほど「データ争奪戦になる」と言ったのは、この付加価値を付ける作業がビジネスになるからです。データを加工するのがセンサーを買ったサービス事業者であれば、商機をつかむのはその事業者でしょう。しかし、メーカーが自らセンサーを設置し、加工まで手がければ、データを売る新たなビジネスができる。

 そしてそのためには、どんなデータを取ってどう加工すれば価値が上がるというニーズの先取りが必要になります。

これまで「売り切りビジネス」が主流だった部品メーカーが簡単に舵を切れるのでしょうか。

三品:部品メーカーは危機感を持っていますよ。彼らは既に複数のセンサーとソフトウェアを一体化したセンサー・モジュールを売り始めています。能力的に不可能ではないと私は見ています。