僕はロボット会社の経営を通じて、日本経済が本当に進むべき道を見つけだそうとしてきた。ハードウェアビジネス、とりわけロボットビジネスを軌道に乗せるためには、自ずから時間がかかる。アメリカの最大の水道公社の一つと契約が取れたことは前回書いた通りだ。これは素晴らしいこと、しかし、こうしてビジネスを淡々と積み上げていくことはとてもとても時間のかかることなのだ。

 ちょっとインチキをやれば、明日には記事が大量に生産されますとか、キーワードを逆算して記事にすれば、グーグル検索の上位に来て広告収入がもらえます、などといった簡単なビジネスではないのだから。

 大きな社会問題の一つを、最先端のテクノロジーを使って解決する、こうした骨太のビジネスを構築するには、時間もお金もかかる。巨大な赤字を垂れ流しながら進んでいく。その間、投資家から預けてもらった資金で会社を運営していくことになる。だからこそ、経営者サイドには「借りは返さなければならない」という思いが生まれ、また投資家サイドには、そんなに長くは付き合えないと思った瞬間、売り抜けてバイバイするという選択肢が生まれるのだろう。

若者たちの目を輝かせるために

 そんな僕の心を見透かしたかのように、投資家は温かい笑顔を見せてこう言った。

 「加藤さん、あなたは、Googleにロボット会社を売却しました。でも、Googleには行かなかった。それは何故か。あなたには思いがあったからです。あなたが以前、私にこう言ったのを覚えていますか? あなたは、『日本に眠る技術を掘り起こし、それをベンチャービジネスにすることで、日本にいる若者たちの目を輝かせたい』と言った。小手先のテクニックを使って、少しばかりの利益を得たとしても、それでは何のために投資したのかが分からない。とことん応援しますから、思い切ってやってください」

 ハイテクベンチャーを成功させるために必要な3つの要素がある。それは、1)志と技能を併せ持つ経営者、2)タネになる先端技術、そして、3)ロングターム(長期)で付き合ってくれる投資家だ。

 サンノゼに戻る飛行機の中、僕は嬉しくて仕方なかった。なぜならこの会社には、上記の3つの要素全てが揃っているからだ。思い切ってやろう。大きく背中を押してもらった気がした。

仕事に邁進しつつ、研究員としてスタンフォード大学にも足を運びます。慌ただしい日々ですが、充実した2016年でした
仕事に邁進しつつ、研究員としてスタンフォード大学にも足を運びます。慌ただしい日々ですが、充実した2016年でした

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