やがて、話をすべき相手が見えてくる

 リノからレッドウッドシティのオフィスに帰ると、すぐさま次の展示会に参加する予定になっていた。その週末の日曜日(10月29日)、お昼にサンフランシスコ国際空港を出発すると、今度は飛行機でテキサス州のヒューストンに向かった。ここでは、全米水道協会が開催する水道インフラに関するカンファレンスが行われる予定になっていた。ラースさん、マティー、フーリオと、皆別々の飛行機でヒューストンに到着すると、その日の宿である、展示会の会場近くに借りていた一軒家に集合した。

 3階建ての家にベッドルームがいくつかある。遅くまで開いていた近くのレストランで夕食を済ませると、フーリオのベッドルームに集合し、メジャーリーグ・ベースボールの決勝戦、ワールドシリーズ(ロサンジェルス・ドジャース 対 ヒューストン・アストロズ)を皆で観覧し、眠りについた。

テキサス州ヒューストンで夜遅くに飛び込んだレストラン。明日もまた、一緒に走ってくれるパートナーを全力で探そう
テキサス州ヒューストンで夜遅くに飛び込んだレストラン。明日もまた、一緒に走ってくれるパートナーを全力で探そう

 翌日は朝からカンファレンスの会場まで歩いて向かった。ヒューストンという街は、完全なる車社会で、歩道を歩いている人など1人もいない。だだっ広い道路を車がすごいスピードで走っていく。道沿いのカフェで朝食を済ませると(またいつものフレンチトーストだ)、やがて会場に到着した。

 この日は朝から水道関連事業に興味を持っている投資ファンドと話し合いを持つ予定で、それが済むと全米第2位の民営水道会社の幹部とランチを食べる予定になっていた。その他、精力的にミーティングをこなすと、僕は翌日にサンフランシスコ・ベイエリアで予定されているミーティングに参加するために、夜8時の便に飛び乗り、ヒューストンを後にした(と言ってはみたものの、このフライトは2時間遅れ、サンフランシスコに到着したのは24時を過ぎてからだった)。

 この展示会では、ラースさん、マティー、フーリオが、縦横無尽に色々な参加者と話し、僕たちのソフトウェアを担いで売ってくれる販売パートナー候補といくつも接点を持つことができた。僕たちは素晴らしいソフトウェア製品を持っているものの、全米に散らばる5万以上の水道会社にこのソフトウェアを使ってもらうためには、販売パートナーが不可欠なのだ。

ヒューストンのカンファレンスにて。新旧のフラクタパンフレットです。やるべきことが、どんどんクリアになっていきます
ヒューストンのカンファレンスにて。新旧のフラクタパンフレットです。やるべきことが、どんどんクリアになっていきます

 ベンチャー企業を始めて、新しい産業に打って出る。どんな相手と一緒に組めば良いのかなんて、やっぱり最初は分からない。ただ、こうして継続的に展示会に参加していると、不思議なことにどんどんネットワークが広がっていき、やがて自分たちが話をするべき相手を見つけられるものだ。それがたとえ計画されていなかったとしても、展示会で巡り合うたくさんの人たちと話をし、共通項や接点を見つけ、具体的な話に進む。つまるところ事業開発(ビジネスデベロップメント)なんて、そんなものなのかも知れない。

 ラースさんがレッドウッドシティのオフィスに戻ると、僕たちはいつものように、リノのカンファレンス、ヒューストンのカンファレンスで会った多くの人たち(水道会社や販売パートナーの人たち)と、立て続けに電話会議を持っていった。

 展示会に参加し、多くの人たちと話をする。オフィスに戻り、電話会議を持つ。具体的な話に進めそうなら、直接会いに行く。だんだんとだんだんと、こうした流れが会社の標準形になりつつあった。6月に最初の製品を発表してから早5カ月、僕たちは色々なミーティングを経て、また会社として一歩も二歩も前進していた。

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