そんな感じの分担で行こう

 11月13日、またまた相棒のラースさんと2人で外出の予定があった。朝10時半にオークランド(レッドウッドシティから約1時間くらい車を走らせたところにある、サンフランシスコ湾の北東にある街)にあるお洒落なカフェで待ち合わせると、僕とラースさんは、小さなテーブルで向かい合い、グイッとコーヒーを飲んだ。僕たちはその日のお昼、アメリカで最も大きなエンジニアリング・コンサルティング会社の一つ、ある大企業のオークランド・オフィスを訪問することになっていた。

 「加藤さん、昨日も送ったけど、今日使う資料はこんな感じだ」

 ラースさんがノートPCでパワーポイントの画面を開き、二人でコーヒーを片手にその画面を覗き込む。

 「ああ、もう確認してるし、昨日の夜、家に帰ってから、何度もプレゼンを練習してきたから大丈夫だよ。僕がイントロをやるから、そこからラースさんが水道産業の問題定義に入って、僕たちの製品の紹介をやってくれ。最後に僕に戻してもらって、僕が今後の事業提携についての提案に話を振るよ」

 「素晴らしい。そんな感じの分担でいこう。どちらかが苦戦したら、もう片側が助けに入る。フレキシブルにいけば上手くいくさ」

 そんな作戦会議をしている中、僕はラースさんのノートPCの画面の端が割れていることに気がついた。

 「ラースさん、ノートPCの画面が割れて、表示が黒くなってるよ。そろそろ新しいノートPCに変えたほうが良いんじゃないか?」

 「加藤さん、ああ、気づいたか。とはいえ、実はこれで2台目なんだよ。新しいノートPCを買っても、いつもラフに使うから、また壊れる。だから、壊れたものを使い続けるので構わないってわけさ。どうせ、大企業には大きなスクリーンがあって、そこに繋げば良いんだから」

 笑ってしまうけれど、この人はいつもこうなのだ。愛すべきカリフォルニア・ガイ。本質的なこと以外には、全く興味を示さない。めちゃくちゃ優秀で、いつも新しいビジネスの種を見つけてくるが、服装やノートPC、はたまた携帯電話などの機能や見た目には一切の興味を示さない人。そんなラースさんと一緒にカフェを出てしばらく歩くと、ずいぶんと大きなビルの中で、何フロアにも渡って入っている、先方のオフィスに到着した。

 しばらくすると、広めの会議室にたくさん人が入ってきた。水道会社向けにエンジニアリング・コンサルティングを提供している部隊の人たちだ。20人ほどはいるだろうか、皆僕たちのプレゼンテーションを楽しみにしてくれているようで、時間はあっという間に流れた。僕たちはそつなくプレゼンテーションをこなし、質疑応答の時間にも、次々とやってくる技術的な質問にも答えていった。もうこういうことも慣れっこだ。

 大きなビルから出ると、僕たちは、そのままオークランドでランチを食べることにした。半年も前から、オークランドにラースさんオススメのカフェがあると聞いていたから、そこから数ブロック離れたそのカフェに寄った。自転車屋さんとカフェを一緒にしたようなその不思議なカフェは、まさにラースさんという人のクレイジーさを表現しているような場所だった。

ラースさんオススメのカフェで、自転車たちに囲まれてランチを
ラースさんオススメのカフェで、自転車たちに囲まれてランチを

 僕たちはアボカドサラダを頬張りながら、いつものようにミニ反省会を開いた。いつも思うが、このクレイジーな人と会い、ずいぶん遠くにきたもんだ。僕たちはお店を出ると、僕はレッドウッドシティのオフィスに向かって車を走らせ、ラースさんは翌日にロサンゼルスで予定されているカンファレンスに参加するため、オークランド空港に向かって車を走らせた。


 前回も、色々な読者の方から応援のメッセージをいただいた。本当に嬉しい限りだ。読者の方々からの応援メッセージには、全てに目を通すようにしている。応援メッセージなどは、この記事のコメント欄に送ってもらえれば、とても嬉しい。公開・非公開の指定にかかわらず、目を通します。

 次回、ある嬉しいお知らせをすべく鋭意準備中です。お楽しみに。

日々成長していく同志たち。皆、良い表情をしています
日々成長していく同志たち。皆、良い表情をしています