9月16日、僕は東京にいた。9月16日から20日まで、日本の東京ビッグサイトで、IWA(International Water Association:国際水協会)カンファレンスという展示会が行われ、我らがフラクタもここに参戦することになったのだ。フラクタが日本の展示会に出展するのは初めてであり、僕は日本人としてこの出張をとても楽しみにしていた。

我らフラクタ、日本で開催される展示会に初出展です
我らフラクタ、日本で開催される展示会に初出展です

 今年5月末、栗田工業によるフラクタ株式の過半買収完了後、早速、栗田の伊藤専務から声をかけてもらい、この9月まで、栗田の小林さん、フラクタのヒロが中心となって、共同で展示会の準備(展示ブースをデザインし、皆で着るTシャツを制作し、配布用のボールペンも作って、さらにパンフレットを印刷する)を行ってきた。16日の夕方、現地に入ると、薄いグレー色のフラクタTシャツを身にまとった栗田工業の小林さんや森さん、林さんといった人たちと合流し、たちまちビジネスや文化、はたまた僕の時差ボケなどについての話に花が咲いた。

 周囲を見回すと、東京ビッグサイトで行われる展示会にしては珍しく国際色が強いようで、外国人と日本人の参加者比率がちょうど半々といったところだ。天気が良いとは言えない日だったものの、室内の会場は、天井が高く、気持ちが良い。もちろんのことだが、いつもはアメリカにいるので、こんなにも多くの日本人「水道関係者」を見るのは初めてで、それはある意味でとても新鮮だった。

 夕方のレセプション(展示会の正式開催の前日の夜などに、多少のアルコールなどが振る舞われ、展示会の開催をお祝いするパーティーのようなもの)から始まった展示会は、フラクタ含めた企業別ブースの他、国単位で自国の企業や水道行政をアピールするブースなど、多岐にわたる展示に彩られていた。レセプション会場では、係の人達がビールやワイン、ウーロン茶といった飲み物を皆に配って回っている。懐かしい味がする日本のビールを口に含むと、僕はあまり時間を空けずにフラクタの展示ブースに戻り、会場全体をぐるっと一周してみた。

 まだ正式にオープンしてはいないものの、各展示ブースには、既に担当者たちが立ち、やがて訪れるかも知れない訪問者を歓迎している。カナダやオーストラリア、デンマークやベルギーといった国々の展示を回って、色んな人と話をするだけでも楽しい気持ちがするものだ。

揃いのフラクタTシャツで、さあ始めよう

 一夜明けて、9月17日の朝、アメリカから同じくこの展示会に駆けつけているヒロと新橋駅で待ち合わせると、僕たちは東京ビッグサイトの会場に向かった。今回の展示会の雰囲気は、なんだか新鮮だった。何しろ栗田工業のイノベーション推進本部の人たちが、展示ブースで一緒に戦ってくれることに加え、ヒロと、同じくその日から東京に駆けつけてくれたフラクタの新入社員モモの姿もそこにあったからだ。僕もその日着てきたシャツの上からフラクタTシャツを羽織り、戦闘準備に取り掛かった。

そろいのフラクタTシャツはこちら
そろいのフラクタTシャツはこちら

 アメリカで最も大きな全米水道カンファレンスなどと比べると、人の数は必ずしも多くないようには見えるが、ポルトガルやブラジル、シンガポールの水道会社の人など、フラクタのブースにはずいぶんと多くの人たちが訪ねてきてくれた。もちろんのことだが、皆真剣に僕たちの話を聞いてくれる。日本の市場にこの技術を逆輸入することは決めたのだが、その他の国への進出という意味では、まだどこの国の市場に入ろうか決めていないところだったので、各国企業とのこうした話し合いがとても参考になった。

フラクタのブース、様々な人と様々な話を
フラクタのブース、様々な人と様々な話を

 お昼になると、僕は急いで日本橋に向かった。祝日だというのに、わざわざ出向いてくれた日本の大企業の人たちと、日本橋のすき焼き屋さんで(と言いながら、僕はそこで「しゃぶしゃぶランチ」なるものを注文してしまったのだが)ランチミーティングを行うと、僕たちはまた東京ビッグサイトに戻り、展示ブースに立ち続けた。

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