9月6日、お昼にサンフランシスコ空港で落ち合うと、僕とラースさんは飛行機で東海岸に向かった。飛行時間6時間に、時差+3時間を加えた夜の22時、ニューヨークの玄関口といわれるニューアーク空港(名前が紛らわしいが)に到着すると、そこからいつものようにレンタカーを借りに行く。レンタカー屋さんの端にある電光掲示板で自分たちの車が置いてあるエリアを確認すると、係の人に尋ねる必要もなく車をピックアップできる。アメリカとは便利なところだ。

 「加藤さん、エリアの番号は、えーっと、109だ」

 そう呟いて足早に車が停めてあるエリアに向かうラースさんを追いかけた。109に停まっている車を見て二人で驚いた。それは、通常の車の2倍くらいの大きさのある、トラックのような車だったのだ。おまけにキャデラックと書いてある。高級なトラック?といった風情のその車をひとしきり眺めると、ラースさんが「こんな車を借りれるなんて幸せだな。予約したのはこんな車だったかな? まあでもこんな車だったかも知れないから、とりあえず乗って出発しよう」と言って、荷物を後部座席に押し込むと、二人で車に乗り込んだ。

エリア番号109には、予想外のドでかい車が

 ラースさんは色んな機能がテンコ盛りになったこの車が気に入ったようだ。色んなボタンを押しまくり、「面白いなあ」とか独り言を呟きながらレンタカー屋さんの出口に向かうと、そこで係の人に止められた。「お客さん、間違った車をピックアップしてませんか? お名前は?」。そんなやり取りをしていると、係の人が端末を叩いて確認する。「間違ってますね。番号は108ですよ」。なんと、隣りの車をピックアップしてしまったのだ。

 僕たちは高級なトラックを置いて、その後ろにあった車を見てさらに驚いた。アメリカにしてはこれまた珍しい、軽自動車のような風情の小型車だった。ラースさんはそれでも満足した様子で、「ちょっとこれは、逆方向に大きく振れたなあ」とか言いながら、その状況を楽しんでいる。僕たちは改めて後部座席に荷物を放り込むと、ニュージャージー州のホテルに向かった。ホテルに到着したのは23時半であり、夕飯を食べ忘れたことに気づいた僕は、フロントで売っていた小さなポテトチップスを食べて、すぐに眠りについた。

エリア番号108の小さな車は、慌て者の2人をじっと待っていた。今日も珍道中です

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 翌朝起きて、階下の朝食ラウンジに向かうと、別の深夜便でサンディエゴから合流したマティーがコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。ラースさんが降りてきて、3人で今日のプレゼンテーションの最終確認を念入りに行った。

 さて、一体どうして、僕たちは東海岸にやってきて、こうして朝早くからプレゼンテーションの準備をしているのだろうか?