電話を切るとラースさんが言った。

 「加藤さん、カナダの企業に電話して、先方の社長と少しだが話をすることができた。うちのロボットの動画を見てもらい、おおよそのスペックを伝えたら、おそらく彼らの部品が適合するだろうと言っている。どうする?」

提案に即答、この会社に決まりだ

 なんてタイミングの良い、そして頼りになる男なんだ。僕たちのチームの良いところは、本当にツーカーで仕事が進んでいくところだ。

 「ラースさん、カナダに飛んで、すぐこの社長と話せないか? この部品の問題を片付ける必要がある。明日はどうだろう? 今電話を切ったばかりだから、まだ社長は会社にいるはずだ。すぐに電話をかけ直してアポを取ってくれないか。二人ですぐカナダに飛ぼう」

部品調達のスピードを落としたくない。直接交渉のためにカナダへ

 翌日の渡航はかなわなかったものの、その数日後、僕たちは朝8時出発の便で、サンフランシスコ国際空港からカナダのバンクーバーに向かった。

 レンタカーを借り、午後には先方のオフィスに到着。先方の社長に会うなり、僕たちは自分たちの会社のことを伝え、この部品に関して現在自分たちが置かれている状況と、先方にとり急ぎお願いしたいこと、また長期的に相互の利益が生まれるように、単に部品の供給のみならず、お互いを利する形での事業提携に進んでいきたいことなどを提案した。

 先方の社長は、グレーヘアーの素晴らしいナイスガイ。彼らの部品と、僕たちのロボットとのつなぎ込みは、技術的にはほぼ可能であろうという回答をすぐにもらうことができた。話せば話すほど、彼は魅力的な人間で、僕たちは彼と長期的な人間関係を築ける可能性を感じ、嬉しくなった。部品の供給は、この会社に決まりだ。

 この件に限らず、アメリカに渡ってからというもの、ロボットの部品から産業のエキスパートに至るまで、必要な物的・人的資源を外部から調達することによってもたらされるスピードを軽視してはいけないと感じることが多くなった。