7月28日、スタンフォード大学のArrillaga Alumni CenterでJapan-US Innovation Awardsというシンポジウムが開催された。このシンポジウムは、スタンフォード大学とJapan Society of Northern California(北カリフォルニア日本人会)が共催するイベントで、今年で7年目を迎えるそうだ。過去には電気自動車のTeslaや、決済サービス企業のSquareなどが賞を受賞したという、イノベーションに関する由緒あるイベントだ。

母への報告と希望の光

 なぜこのシンポジウムについて僕が書いているかというと、僕たちフラクタが、このイベントで、日本に関係する「将来を約束されたスタートアップ企業5社」に選ばれたからだ。2年近くアメリカでやってきて、アメリカの雑誌などメディアに取材記事が掲載されることはあっても、スタンフォード大学できちんとした賞を受賞するという経験は無かったので、これは正直とても嬉しかった(自宅に帰ったあと、母の遺影に手を合わせ、特別に報告してしまったくらいだから、僕もよっぽど嬉しかったのだろう)。

 イベント自体は、前日夜のVIPレセプション(食事会)から始まり、当日は朝から晩まで予定が目白押し、シリコンバレーの有名なベンチャーキャピタリストの人たちのパネルディスカッションなどもあり、非常に盛り上がった。僕はというと、午後4時過ぎから始まるパネルディスカッションと、その手前に行われる各社の紹介プレゼンテーションに壇上で参加する予定になっていたから、朝から少し緊張気味だった。これはいつもそうだが、どんなイベントでも、僕は服装とかはあまり気にしない。どこへでもシャツ1枚とジーンズで出かけていく。この日の写真を見返すと、パネルディスカッションで壇上に上がった5人のうち、ジャケット1枚羽織っていないのは、僕だけだった。

スタンフォード大学で我らがフラクタについて説明する私です。
パネルディスカッションにも参加しました。

 5分程度で、簡単にフラクタの説明をする時間があったので、いくつかカギとなるポイントを話した。アメリカの上水道配管は目を覆うほどの劣化状態にあること(何しろ400年に1回のペースでしか交換していないのだ)、そのため日本の水道管破損の100倍の破損がアメリカでは起こっていること、それを解決するには2050年までに100兆円ものお金を使わなければいけないこと、これをそのまま実現しようとするとアメリカ全体で水道料金を3~4倍に上げなければならないこと。一方で、劣化したと推定される水道配管を交換しようと土を掘り返せば、ほとんどの配管はまだ使える状態にあること(つまり劣化予測の精度が非常に低いこと:モグラ叩きに例えれば、モグラが出てきていないところを必死に叩いていること)、各種の器具を使って配管の中を見に行くやり方だと、とてもではないがアメリカ全土の配管をチェックすることができないことを話した。