7月は、会社の中での日々のやり取りを通じて、「コミュニケーション」について考えることが多かった。僕はアメリカ法人だけでなく、日本法人の社長もやっているので、アメリカ法人の中だけでなく、アメリカと日本の間のコミュニケーションも担当しているので、色んなコミュニケーション機会があるのだ。

 ここシリコンバレーでNVIDIAという半導体メーカーを創業したジェンスン・ファンは、かつてその講演の中で「Laser Beam Focus」という言葉を使った。要は、「一つのことに、とことん集中しろ」ということだ。

 ベンチャービジネスを成功に導くためには、一つの市場、一つの製品に絞り込んで、そこを徹底的に陥落させることが重要だということだろう。わかっちゃいるけど、みんなこれができない。限られた「人的」「資金的」「時間的」資源を、ある一点に向けて集中しなければならないという意味でとらえていた、こうした「集中」の意味だが、「コミュニケーション」の観点からも非常に重要な意味があることに、僕は最近気づいた。

三個のお手玉ではコストがかかる

 たとえば、アメリカと日本でやり取りをしていても、それが日本語であれ英語であれ、要は話をしなければならない項目の数が多くなればなるほど、組織の中で生まれる誤解やミスコミュニケーションの数が、ものすごい勢いで増えていき、結局同じ情報を持って、同じ方向を向いて進むことがままならなくなってしまう。

 お手玉が良い例になるかも知れない。右手で玉をポンと上に投げて、左手で取る、あのお手玉だ。お手玉だって、扱う玉が一個なら誰でも簡単にできるが、それが二個になれば失敗することが多くなり、それが三個ともなれば、ほとんど上手くいかない。人間、たった三個のことでも、同時に処理しようとすると、とても難しいことの良い例だと思う。

 こうした例を顧みず、無造作にコミュニケーションを複雑化させて、またそれに失敗すれば、結果として、市場にフィットしない、つまりは間違った製品がいくつもできあがる。要件と違う無価値の仕事が積み上がってしまうのだ。このコストは膨大であり、それをとりわけベンチャー企業のような小さな企業が(時間的、金銭的に)こうしたコストを払うことは到底できるものではない。

 組織として大切なのは、極めて意識的に、多くの項目を扱わないようにすること、お手玉に例えれば、チーム全体で、一個のお手玉をしっかり投げることに集中することだろう。また、こうしてお手玉の数、つまり話し合わなければならない項目を極限まで絞った上で、一つひとつのコミュニケーションにおいて、「文意を正しく、簡潔に伝える」「全体観を示した上で、部分について伝える」といったことを、相当程度きっちりやる必要があるのだ。

無理なお手玉にならないように