ピープルズ・マネーを守るんだ

 さて、話を全米営業ミーティングに戻そう。相変わらずダグの力強いイントロダクションで始まったこの営業ミーティングは、僕がフラクタの歴史、会社のビジョンや哲学を語るセッションを経て、具体的なコンテンツに入っていった。「水道産業のあらまし」「製品の紹介」「根幹となる人工知能(技術)の紹介」「営業戦略」「営業で使えるツール類の紹介」「標準契約のあらまし」。こうしたコンテンツの一つひとつを、各責任者が、新任の営業マンたちに向けて、分かりやすく説明していく。

全米営業ミーティング、熱い議論が続きます

 そんな中、真夏の陽光が差し込む会議室の中で、僕は、新しい営業マンたちの初々しさに見惚(みと)れていた。彼女たち、彼らが、人生の中で新しく接することになった、人工知能という技術、ソフトウェア。こうしたことに対して、素直に「すごい!」という表情を示す営業マンたちは、皆フラクタの仲間だし、会社の大切な宝物だ。

 新しい物事、新しい技術を世の中に紹介するのは、骨の折れる仕事だ。営業と一口で言っても、最初の最初は、断りのめった打ちに遭うに違いないのだから。しかし、一緒に世界を変えようと彼らに語りかけることは、悪いことではない。こうした希望を持った人たちがやがて、多くの水道会社を説得し、世に生きる市民が払わなければならない水道料金(ほとんど税金だ)の不用意な上昇を抑制し、リーズナブルかつ安定した水道(生活用水)の供給に資することができるのだから。

 僕は最近、フラクタの従業員に対してこうやって語りかけることが増えた。

 「水道料金、これは市民のお金、People's money(ピープルズ・マネー)だ。税金と一緒さ。上水道配管のどこを更新すれば良いか分からないから、水道料金を上げさせて欲しいという水道会社があるけれど、これは本当に理不尽な話なんだよ。なぜなら僕たちのソフトウェアは、最適な更新箇所を指し示すことができるからだ。水道会社は、フラクタのソフトウェアを使わなければならない。市民のためにだ。フラクタは市民の味方なんだ。僕たちは良いソフトウェアを開発して、ピープルズ・マネーを守るんだよ」

 2日目の終わりには、レッドウッドシティのハンバーガー屋さんで、恒例になったフラクタ全員参加の食事会を開催した。皆、ビールやワイン片手に仕事の話、家族の話、趣味の話で盛り上がる。いつも戦場で闘う戦士たちの、つかの間の休息。こうして、3日間の営業ミーティングは、あっという間に幕を閉じた。

ミーティング2日目、恒例の食事会です