ガスも鉄道も
6月になると、僕たちフラクタには、重要なイベントが控えていた。6月11日から14日の日程で、ラスベガスで開催される予定になっていた全米水道カンファレンスへの参加だ。去年はフィラデルフィア開催(過去の記事はこちら)、一昨年はシカゴ開催(過去の記事はこちら)だったが、今年はネバダ州ラスベガス、マンダレイ・ベイ・ホテルのコンベンション・センターでの開催だった。
アメリカでは、基本的に人に仕事を任せるということがとても大切で、僕はこのカンファレンスでの成功を、営業とマーケティングの責任者であるダグに託すことにした。
ダグは6月10日(日曜日)に現地ラスベガスに入り、6月11日から14日まで展示を行って、15日(金曜日)にラスベガスを出る予定を組む一方で、僕は6月12日(火曜日)昼に現地に入り、翌13日(水曜日)夜にはラスベガスを後にすることで、「任せていますよ」「ダグ、頑張ってね」というメッセージを伝えることにしたのだ。
6月12日の朝8時半にヒロとサンフランシスコ空港で待ち合わせ、Peet's Coffee(ピーツ・コーヒー)で買った大きなコーヒーをがぶ飲みすると、サウスウェスト航空の飛行機に乗り込み、1時間半のフライトでラスベガスに入った(ちなみにラスベガスのあるネバダ州はカリフォルニア州の右 [東] 隣りにある)。

ラスベガス空港の扉を出ると、僕たちは強烈な熱波に包まれ驚いた。乾燥はしているものの、なんと40℃近くもある気温は、砂漠の真ん中に突如として建設されたラスベガスというカジノ街の歴史を思わせた。Uber(配車アプリで呼べるタクシーのようなもの)に乗り込み、15分ほどでマンダレイ・ベイ・ホテルのコンベンション・センターに到着すると、僕たちは早速受付で入館証を受け取った。
この受付で待っている間に、もうこの記事ではお馴染み、配管メーカー・クボタの末永さんとすれ違い、お互いに再会を喜んだ。会場に入ると、昨年、一昨年と比較して、さらに人口密度、また会場の熱気が増しているように感じた。



それにしてもすごい数の展示だ。水道管そのものはもとより、ポンプ、バルブ、接続器具から、配管の診断器具、備品管理のソフトウエアまで、それこそ水道産業に関連するありとあらゆるものが展示されている、大きな展示会だ。
すぐさまフラクタのブースに向かうと、テキサス州周辺の営業担当であるドンと、全米への電話営業担当のリックが真新しい白のフラクタ・ポロシャツを着て、顧客対応をやっている。
「やあ、ドン、リック!」
声をかけると、2人とも嬉しそうに、僕たちの到着を歓迎してくれた。
「やあ、加藤さん、それにしても、すごい大盛況だ。お客さんがフラクタブースに引きも切らずやってくる。イノベーションラウンジで、ダグのプレゼンテーションがもうすぐ始まるところだよ」
僕たちは6月1日に、全面的なブランドの刷新を行っていた。水道だけではなく、ガスや鉄道といった他のインフラにも対応できるアルゴリズムがあることをきちんとアピールしつつ、一つひとつのデータから、社会的・経済的な意味を紡ぎ出すというイメージを載せて、ロゴも新しいものに刷新したのだ。ロゴの刷新を手始めに、ウェブサイトや顧客への配布物、名刺、はたまた展示ブースなど、ありとあらゆるものを新しくして、気分一新、僕たちはフラクタの第2章を歩み始めたのだ。




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