またなのか、ユナイテッド…

 そうこうしているうちにも、営業に進捗が見られたとダグから連絡が入った。

 「加藤さん、4月19日に、テキサス州の営業に一緒に同行してくれないか。ドンが提案している一つの大きな水道会社があり、話が前に進みそうだから、CEOを連れてトップ営業という形にしたいと思っているんだ」

 前後に予定が詰まっている週だったが、ダグの熱烈な誘いを断る気には、とてもなれない。

 「ダグ、もちろんだよ。一緒に行って、営業を決めてこよう」

 4月16日、17日とRedwood Cityのオフィスに来て仕事をしていたダグと、4月18日の午後、テキサス州に向けて出発した。

 ところが(正直、もういい加減、慣れっこではあるのだが)、ユナイテッド航空から直前に連絡が入り、フライトに遅延があって、今日中には現地に到着することができないということが知らされた。サンフランシスコ空港のカウンターで、ダグが間に入って交渉してくれ、テキサス州のオースティン空港までその日のうちに飛ぶことができる別便に振り替えをお願いし、現地にはオースティンからレンタカーで向かうことになった。

いざ、テキサス出張。ダグと一緒にようやく空港に着きました
いざ、テキサス出張。ダグと一緒にようやく空港に着きました

 夜9時頃、テキサス州はオースティン空港に到着すると、テキサス州周辺5州の営業テリトリー担当であるドンがレンタカーを借りて待っていてくれた。

 「やあ、加藤さん、元気かい。久しぶりだなあ。会えて嬉しいよ。さあ、乗ってくれ。目的地まではかなり道のりがある。先を急ごう」

 相変わらずの大きな身体に、満面の笑みをたたえたドンがそこにいた。僕たちはひとしきり冗談を言い合ったりして時間を過ごすと、車内のスピーカーフォンから製品担当のマティーに電話を掛けた。

レンタカーで夜の高速道路をひた走りながら、マティーと電話会議を
レンタカーで夜の高速道路をひた走りながら、マティーと電話会議を

電話会議 with マティー

 前週には今回営業に向かう水道会社と守秘義務契約を取り交わしており、僕たちは彼らの上水道配管に関する基礎的なデータを預かっていた。そして、マティーはこの営業の2日前の月曜日(4月16日)に、フーリオやダグと一緒に夜を徹して、今回営業に向かう水道会社のパイプデータを分析してくれていたのだ。先方とのディスカッションは翌日。この水道会社の配管がどのような状況にあり、具体的に僕たちとしてどんな提案ができるのかということをマティーは資料にまとめてくれていた。

 スピーカーフォンで、マティーに電話が繋がる。

 「マティー、調子はどうだい? こっちはやっとテキサス州のオースティンに到着して、今レンタカーで現地に向かっているよ」
 「やあ皆、こっちは順調だよ。さあ、夜も遅いことだし、電話会議を始めよう。まず、この水道会社のデータの特徴は◯◯というところにあって、分析結果としては、今のところ非常に良好だ」
 「素晴らしい。それで結局、何年分のデータをもらって、どこまで分析が終わっているのか、簡単に説明してくれないか?」
 「ああ、先方からは◯◯年分のデータを預かっている。この段階で分析が終わっているのは◯◯年分だ。先方はこれまで水道管路の更新計画を立てたことが無いけれど、議会では、今年から計画を立てて、順序立ててこの問題に向き合っていくという話になっているようだ」
 「なるほど、それで、最終的な分析結果については、チャートにまとめてあるのかい?」
 「ああ、そこは安心してくれ。資料についてはもう少し整理が必要だけれど、明日の朝までには修正した最終版を送ることにするよ」

 電話会議は30分くらいで終わったが、こうして地理的に同じ場所にはいないチームメンバーが、電話やメールを駆使して仕事を前に進めていくのが、アメリカ流といったところだろう。

次ページ メキシコ料理 with ドン