これまでフラクタを陰に日向に助けてくれていた日本人ヒロを、この春から正社員として迎え(ヒロはそれまで、フラクタとコンサルタント契約を結んでいた)、僕とヒロを中心にデュー・デリジェンスに対応していく。どういう製品を作り、どうやって市場に広めるかについての戦略を担当するヒロに、思い切って管理の仕事(経理や財務、その他諸々)も任せることにしたので、彼も大忙しだ。

 日常業務にキャッチアップしながら投資家対応をやっていく。週7日勤務で、睡眠時間もろくに取れないヒロに対して僕ができることがあるとすれば、たまに夕飯をご馳走してあげることくらいだ(この間は、外国人が経営しているお寿司屋さんで、ちらし寿司をご馳走した)。

「仕事の報酬は、仕事だ」

 ところがどうだろう、ヒロの口から出てくる言葉といえば、「久しぶりにこんなに仕事をして、楽しくて仕方ないです。ありがとうございます」なのだ。「ありがとう」と感謝したいのはこちらのほうなのだが、どうにもこうにも、順序が逆になっている。日本人の中には、まだこうして宝の原石のような人たちが眠っている。

 かつてソニーの創業者、井深大さんが言った「仕事の報酬は、仕事だよ」という言葉があるが、まさにそれに近い感覚があるだろう。いつの時代も、若くして情熱を傾けられる仕事に巡り会った人たちは、強いのだ。自分が行う一つひとつの仕事が、フラクタという会社を前に進めていく。フラクタという会社には、水道産業を根底から変えてしまうような技術があり、この会社を前に進めるということは、すなわち世界をより良い方向に前進させることに繋がっている。

 この感覚に疑いがないとき、一人ひとりのフラクタのチームメンバーの中に、ある種の使命感のようなものが芽生える。一方で、ヒロには会社の所有権であるストック・オプションが配られ、その意味で、ヒロはまたフラクタの部分的所有者(オーナー)でもあるのだ。ヒロのような人間と一緒に仕事ができて、僕は幸せだ。