16時近くなり、早速いくつかのビジネス上の問題点について、皆で議論するセッションを3時間ほど行った。

 6人それぞれ、役割を分ける。事実関係に忠実に物を語る人、情熱先行で物を語る人、悲観的な物の考え方をする人、楽観的な物の考え方をする人、クリエイティブな物の考え方をする人、プロセスをきちんと考える人、などなど。こうして役割を分けることで、同じことを議論していても、色んな方向から非常にバランスよく、多面的に検討をすることができる。アメリカで仕事を始めてから、ラースさんとは何回か使ってきた方法論ではあったけれど、人数も増えて、面白いくらいにこれがワークしているようだった。

高倉健さんに背中を押され、星に誓う

 通りに面したピザ屋さんで軽い夕食をとると、21時過ぎから、ラースさんの提案で、映画『ミスター・ベースボール』(1992年)のDVDを全員で見た。アメリカのメジャーリーグから、日本の中日ドラゴンズにトレードされたアメリカ人野球選手が、高倉健さん演じる中日ドラゴンズの監督とぶつかりながらも成長していく物語。ちょっと古いが、日本のカルチャーとアメリカのカルチャー、この違いを絶妙なタッチで描いた、素晴らしい映画だ。

 日本の良いところ、アメリカの良いところ、これを合わせて一生懸命に成功をつかもうという、チームメンバー全員に対するメッセージになったと思う。僕はすっかりこの映画で高倉健さんが演じた監督が気に入ってしまって、この監督が読売ジャイアンツとの優勝争いに向かう選手たちに放った言葉「Let's Kick Ass!!([相手を]ぶっ飛ばそうぜ!)」を合宿中に連呼して、皆を笑わせた。

 この「Let's Kick Ass!!」こそが、ベンチャー企業がやらなきゃいけないことなんじゃないかと、改めて思い、勝手に、今年一年の標語にすることにしてしまったのだ。

 映画を見終えると、防寒着を着込み、夜空を見るために皆で外に出た。タホ湖周辺は明かりも少なく、また空気も非常に澄んでいるので、オーストラリアの空のように、空はどこまでも黒く深く、無数の星を見ることができる。

 凍えそうなほどに寒い夜の道を歩いて、湖のほとりで歩みを止めてしばらく空を見上げていると、僕たちの上を流れ星が通り過ぎた。チームの皆は、この星を確認することができて、大喜びだった。皆が星に何を願ったかは知らない。しかし、何もかもが不確実なベンチャー企業という世界を懸命に生きる僕たちにとって、こうして星にお願いができるということはありがたいことだなと思った。

合宿2日目の朝は、ラースさんがパンケーキの粉を混ぜて、僕が焼きました。自前で楽しく、これからもガンガン行きます

 前回も書いたが、このチームで、前に進んでいく。Journey is the Reward(目的地に着くことが旅の目的なのではない。旅をすること、そのこと自体が、旅の本当の目的なのである)なのだ。一人ひとりが納得のいく旅路になれば良いと、思った。

 先月も、色々な読者の方から応援のメッセージをいただいた。本当に嬉しい限りだ。読者の方々からの応援メッセージには、全てに目を通すようにしている。応援メッセージなどは、この記事のコメント欄に送ってもらえれば、とても嬉しい。公開・非公開の指定にかかわらず、目を通します。