もう2年近く前の話になるが、シリコンバレーに出張していた僕は、滞在先のホテルで、清掃係の妙齢の女性と立ち話をしたことがあった。…雰囲気が伝わりにくいので親しみを込めて、掃除のおばちゃんと呼ばせてもらおう。

「これから、アメリカで仕事をしようと思っているんだ」
そう言う僕に向かって、そのおばちゃんが言った言葉が、今でも忘れられない。
「きっと上手くいくわよ。なぜなら、この国にはチャンスが溢れているから」
職業に貴賎はない。しかし、掃除のおばちゃんでも、「この国にはチャンスが溢れている」と思えるアメリカという国は、正直豊かだなと思った。
シリコンバレーで最も成功したベンチャーキャピタルの一つ、セコイア・キャピタルの伝説的な投資家マイク・モリッツも、かつてこう言っていた。
「人生の中で自分が行った選択の中で、最も重要だったと思う選択が2つある。一つはイギリスを飛び出してアメリカに移住したこと。もう一つは1980年代に、セコイア・キャピタルで職を得たことだ。なぜイギリスを飛び出しのか、って? それは、この地アメリカには、イギリスよりも遥かに多くのチャンスが転がっていると思ったからだ」
役割を演じながら、「その先」をつかまえろ
2月28日から3月1日にかけて、アメリカのチーム皆で合宿に出かけた。1月には本多君、吉川君が日本から合流してきて、2月にはマットがヒューストンから合流、所帯も少し大きくなってきたところで、一回チーム・ビルディングをやろうとラースさんと話していたのだ。

ラースさんの親戚が持っているという別荘がサンフランシスコから北東に3時間くらい行ったところにあるLake Tahoe(タホ湖)にあるというので、そこまでラースさんの家族用バンに6人で乗っかって行こうという話になった。
長いドライブ、ラースさんは運転席で長距離運転、僕は助手席、残り4人を後ろに乗せて、えんやこら北東に向けて車を走らせる。2時間くらい走ると、日本人がやっているというハンバーガー屋さんでランチをとった。マットが悪乗りして、隣りのスーパーマーケットで、辛さ10倍増しのタバスコのような調味料を買ってきて、みんなにポテトに付けて食べろと言う。まさに体育会系部活動の合宿のノリで、タホ湖を目指した。

合宿所(というよりも、ラースさんの親戚の家なのだが)に到着し、ちょっと辺りを散策しようと外に出ると、一面の美しい雪景色に驚いた。カリフォルニア州といえども、北に向かえば、こうして雪深い景色があるということに、ある種カリフォルニアの幅広さのようなものを感じ、僕は妙に感心してしまった。

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