2月6日には、ついにマットがヒューストンからサンノゼに合流した。彼は昨年の10月から12月まで、日本のロボット開発にプロセスと秩序を持ち込むため、僕からの命で東京に長期出張してチームをまとめてくれていた。
マット、亜美さん、同乗感謝!
1月に東京からヒューストンに戻り、ヒューストンオフィスの撤退に関する全ての手続きを終え、2月からサンノゼオフィス勤務になっていた。身長193センチ、海軍出身の心穏やかなこのテキサス男は、カントリー・ミュージックを聞きながら、カウボーイハットをかぶって、遥かヒューストンからサンノゼまで、3日もかけて自分のジープを運転してきたのだ。
マットは、本当に不思議な男だ。仕事をプロセスに落とすのが非常に上手く、またコミュニケーション能力が突出しているので、誰とでも仲良くなれて、かつチームでしっかりと仕事を前に進めることができる。この人はなんでこんなに上手いこと人と渡り合うことができるのだろうか?と考えることがあるが、それはやっぱり文字通り「チームと命を預け合う」アメリカ海軍という所で培われたチーム・スピリットに他ならないのではないかと僕は思っている。
1月11日からは、経理や人事をパートタイムで担当してくれる亜美(あみ)さんがチームに合流した。明るくて誠実で前向き。これまで、僕がサーカスの団員もビックリするくらいギリギリの片手間でやっていた事務仕事を、上手く引き取ってきちんとした形にしてくれるので、本当に助かっている。
マットの体がやたら大きいということもあるのだろうが、サンノゼオフィスは、総勢7名の体制となり、何のかんのオフィスがギュウギュウになってしまった。こうしたことを見越して、昨年末からもう少しスペースのある新しいオフィスを探し始めたのだが、もしかしたらもうすぐこのサンノゼを離れ、どこか別の地域にオフィスを設置することになるかも知れないと思うと、少し寂しい気持ちがするのが事実だ。
サンノゼオフィス開設から、ラースさんとヨネ(米村さん)と、ああでもないこうでもないと過ごした青春。その場所を出ることになるなんて。しかし、まあそれがベンチャーというものなのだ。そんなことを考えているうち、せっかくなのでということで、7人で近くのスターバックスで記念撮影をした。

いつか、ヨネとこのスターバックスでコーヒーを飲みながら、「ベンチャーとは、つまるところ部活動のようなものであり、ある種の思い出作りなのだ」という話をしたことがある。世界に良いインパクトを与えようと真剣に思ったならば、事業に関して十分なリスクを取らなければならない。またこうしてハイリスクを取っているベンチャーに関しては、上手くいったときのリターンは高いものの、当然のことながら必ず上手くいく保証などない。もし「私たちは100%絶対に上手くいく」などというベンチャーがあるならば、それは逆に、期待リターンが極端に低いベンチャー、業界2番手以下のベンチャー、誰かのパクりベンチャーである可能性が高いとも言えるのだ。
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