いつの頃からか僕は、一年の始まりに、必ず目標を立てるようになった。今年はこれとこれをやろう、というようなことだ。面白いもので、こうした目標は、それが明確で、自分なりに腹落ちしている限り、だいたい実現していくものだ。

 そろそろ2017年の目標を立てようかと思っている頃、僕の頭に浮かんだ言葉があった。それは、かつて僕が大好きでよく見ていたドラマ『救命病棟24時』で、俳優の江口洋介演じる医師、進藤一生(しんどういっせい)が語った言葉だ。

一番怖いのは信頼を失うことじゃないか

 進藤の上司だった小田切医局長がくも膜下出血で急逝し、救命救急センターの存在を快しとしない神宮教授からチーム解散の圧力がかかった場面で、自分が所属する救命救急のチームに進藤はこう語ったのだ。

 「俺たちは何のために医者になったんだ。何のためにこの仕事やってるんだ。小田切医局長は俺に言った。人の命を救う現場には、物欲も、企みも、嫉妬も無い。患者を助けたい。ただそれだけだ。神宮教授を怒らせて、何が怖い。ここにいられなくなることか。俺たちにとって一番怖いのは、患者の信頼を失うことじゃないのか。俺たちが患者を生かしてるんじゃない。患者が俺たちを生かしてくれてるんだ。そのこと忘れたら、ここはもう小田切医局長が作った救命救急じゃない」

 2017年はどんな年にしようか。何をやろうか。そんなことを考える中で、「大切なことは、こういうことだな」と僕は改めて思ったのだ。

 僕は、単なる「金儲け」には、昔から心底興味がない。その理由を、過去自分のホームページに長文でしたためたことがある。先月も少し書いたが、僕は株式バブルに浮かれる起業家や投資ファンドといった人たちに、どうしても興味が持てないのだ。

 「イノベーター」だとか何だとか、その記者ですら自分で何を語っているのか分からないような記事で持ち上げられても、やがて気持ち良い場所から降りられなくなるだけだ。ベンチャーに関しても、自分の足を運び、自分の目で見て、自分で考え、自分の言葉で質問し、きちんとした取材に基づいた記事を出すメディアは本当に少なく、どこかで見たようなコピペ記事ばかりが目立つ。昔作ったメディアのブランドを切り売りして、媒体名だけで記事の真実味をプッシュしても、本当のコンテンツが無ければ長期的には先細りだ。

 心ない起業家や投資ファンドは、キャッシュフローが出る見込みも無いのに、注目されているという理由だけで、証券取引所を経由して、強引な成長ストーリー(と結果として行き過ぎた株価)を個人投資家に呑み込ませようとする。そんなことがまかり通るから、それを見た若者たちが、大人の背中を真似て、同じことをしようとする。