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ありがとう。そして、この先も

 …さて、話したいことはまだまだあるが、そろそろ店じまいの時間だ。冒頭にも書いたが、日経ビジネスオンラインでの連載は、残念ながら、これにて終了だ。この『サムライ経営者 アメリカを行く!』は、僕と、日経BP社の編集者である坂巻さんと、ずっと二人三脚で進めてきた。事業が上手くいっているときも、そうじゃないときも、坂巻さんはポジティブなコメントだけを僕に送ってくれた。こういう場を与えてくれた日経ビジネスオンライン、そして誰より坂巻さんには、本当に感謝している。二人とも、寂しい思いは同じだ。しかし、経営者は、涙を流しても、立ち止まってはいけないものだ。どんな時も、前に進まなければ行けない。そこで、この連載を毎月楽しみにしていてくれた読者の人たちに、冒険の続きを伝える、2つの場所を用意した。

 一つ目は、「メンローパーク・コーヒー(渋谷店)」だ。僕がコーヒーを愛してやまないことは、皆さんご存知の通りだ。コーヒーの味わい自体も好きだが、コーヒー・ショップという空間で生まれる相手との自然な距離感、そしてコミュニケーションに、僕は救われてきた。コーヒーや、それを飲む場所を提供してくれるコーヒー・ショップがなければ、僕の人生の楽しみや、仕事の成果は、10分の1くらいに縮んでしまっただろう。そもそも、コーヒー無しで、イノベーションなんて起こりっこないのだ。シリコンバレーは変わった人たちで溢れている。上手く表現できないが、変わった人たちであっても、ここには「居場所がある」という感じなのだ。そして、その変わった人たちは、コーヒー・ショップに集まって、これまた変わった人たちと話をし、イノベーションを起こしている。

 そんな場所を、日本にも作ってみたいと思った。僕は、昔から変わった人たちを大切にしてきた。そんな、僕を含めた、変わった人たちにとっての「居場所」が、日本にもあれば良いなと思ったのだ。2018年の夏頃からそんなことを考え始め、秋には、日本にいる友人に声をかけて、渋谷二丁目にある小さな映画館の隣りに物件(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷二丁目10-2 渋谷二丁目ビル2階)を借り、そこをコーヒー・ショップにする計画をスタートした。着々と準備は進み、今月の1月25日(金曜)にソフト・オープニング(=慣らし運転)に漕ぎ着けられそうだ。まずは、朝9時から15時までの営業にする予定だ。ここで、たくさんの失敗を積み重ねて、修正を行い、最終的には朝7時(もしくは8時)から19時までお店を開けようと思っている。

 そんなメンローパーク・コーヒーは、現在、内装工事の真っ最中だ。東京ディズニーランドの塗装を担当する芸術家の友人にお願いし、1階から2階に上がる階段、そして2階の店内の壁を、鮮やかなブルー(青色)、イエロー(黄色)、レッド(赤色)に塗ってもらい、まずコーヒー・ショップ自らが、変わった人(場所)であろうとした。スターバックスよろしく、品質の良いスペシャリティ・コーヒーを世界中から集め、一台200万円もするラ・マルゾッコ(La Marzocco)の、赤いエスプレッソ・マシンを設置する。「メンローパーク・コーヒー」という名前は、僕が住むシリコンバレーの街、かつてヒッピー文化の発信地だった「メンローパーク」の名前を取った。

 そもそも、なんでこんなことを始めたのだろうか? 作成途中のホームページに、店長の岡山さんと共同で文章を書いたので、詳しくは是非ここを見てみて欲しい(お店の地図もそこに載っている。渋谷駅から歩いて6分くらいだ)。ここでコーヒーを飲み、一人で何かを考える、もしくは誰かとビジネスの話をしたならば、あなたの人生に変化が訪れる。そんな場所になれば良いし、人生なんて、本当に気持ち次第なのだと僕は思っている。僕が日本に帰るたび、必ず立ち寄る場所にしよう。色んな人たちと、ここで話ができると良い。1月25日(金曜)のオープニング(9:00~10:00)にも駆けつけようと思うが、下記のように、1月27日(日曜)の14:00~15:00には必ずお店に行こうと思うので、時間のある人は、是非お店に足を運んでみて欲しい。新刊を持ってきてくれればサインでもするし、何か質問がある人は(一人ひとり多くの時間は取れないが)話しかけてくれれば、それで良い。

 二つ目は、Forbes JAPANオンラインだ。旅の続きを綴(つづ)る場所として、僕は、雑誌Forbes JAPANのオフィシャル・コラムニストとして、オンライン版の記事連載を執筆する機会をもらった。これまでと同じく、毎月1回程度、記事を書いていこうと思う。おそらく3月までには、一回目の記事が配信されるはずだ。それが書籍にしろ、雑誌記事にしろ、僕が書こうと思うことは、いつも同じだ。学歴や職歴、カネやコネが無くても、スタートアップを創業するという方法で、世界に切り込む方法論を追い求めたい。世の中が少しでもフェアになるように、読者の方にとって、真に役に立てるよう、これからも文章を書いていきたい。

 最後になるが、この『サムライ経営者 アメリカを行く!』の集大成、最新刊の『クレイジーで行こう!』(日経BP社)の刊行記念イベントが行われる。1月26日(土曜)19:30~21:00に、東京都渋谷区代官山にある蔦屋書店で、講演をする機会をもらったのだ(詳細はこちら)。週末(土曜)だし、有料(チケットは1080円)なのだが、もし直接話を聞いてみたいと思う人がいれば、良いチャンスだと思うので、是非東京まで足を運んで欲しい。

 冒険そのものについては書籍でたっぷり読んで欲しいとも思うので、質疑応答の時間を長く取りたいと思っている。なので、是非、質問を考えてきて欲しい(世の中に良い質問、悪い質問なんて無い。心を自由に、聞きたいことを聞いてくれれば良いのだ)。この26日(土曜)の講演会に来られない人、もしくはメンローパーク・コーヒーを訪れてみたい人のために、1月27日(日曜)の14:00~15:00に、メンローパーク・コーヒーに立ち寄ることにしたので、そこで会いましょう。

 今までこの連載を読んでくれて、本当にありがとう。皆さんからいただいた温かい応援メッセージの数々が、僕にさらなる勇気を与えてくれた。新しい冒険の扉は、皆さんが一緒に開けてくれたのだ。身寄りもなく、単身乗り込んだアメリカで、あの当時、どれだけ寂しかったか。この連載に対するコメントを読んで、どれだけ奮い立ったか。読者の皆さんの応援に、心から、感謝します。

フラクタはこれからもクレイジーに走り続けます!
読者の皆さん、今まで本当にありがとうございました!
『クレイジーで行こう! グーグルとスタンフォードが認めた男、「水道管」に挑む』

当連載、待望の書籍化!
朽ちゆく全米の水道管は、僕たちが守る!
単身渡米したサムライ起業家、情熱の「1000日戦記」

 ロボットベンチャーをグーグルに売り、世界の注目を集めた男、加藤崇。彼は今、アメリカで新たな勝負に挑んでいる。戦場は「水道管」。老朽化が深刻なインフラ保全は急務で、市場規模は100兆円。単身渡米した熱き日本人経営者は、何を目指し、何に悩み、何を試み、走り続けたのか。本書はその3年間の記録である。

2019年1月15日発行 日経BP社刊 定価:本体1600円+税